2000・2001ヴィンテージのブルゴーニュの赤ワインは今?

France, Burgundy: 2000 & 2001 Red Burgundies - How About Now?
William Kelley
『ワインアドヴォケイト』235号(Feb ‘18)より

まもなく20年となる2000・2001ヴィンテージのブルゴーニュの赤ワインは、今どうだろう?どちらも“生産者”のヴィンテージと呼ばれ、厳しい条件で彼らの気概が試された年だった。そして、ブルゴーニュの素晴らしいヴィンテージ、1999年と2002年に挟まれるという不運にも見舞われた。2000年・2001年はどちらも腐敗との戦いで、生産者は皆熟したぶどうを造ろうと悪戦苦闘した。だが似ているのはそこまでで、造られたワインのスタイルは全く違う。

これらのヴィンテージを振り返ると、ブルゴーニュがどこまで進んだか、ということに気付かされる。この記事に出てくるワインの多くが、ヘビートーストされた新樽の特徴が前面に出て、抽出も激しかった。多くは既に第三アロマやフレーヴァーが支配的で、果実は今その痕跡をとどめるにすぎない。偉大なワインをつくることは目的地ではなく旅路であり(結果ではなく過程であり)、より良いものを目指すことには終りはない。だが1990年代から2000年代はじめにかけて進歩を続けていた多くの醸造・栽培技術は、現在は完成に至っており、もしもこの二つのヴィンテージが今造られるとしたら、もっと良いワインができる、と私は確信している。

ヴィンテージ2000:
2000年は雨が多く、湿った生育期だった。腐敗が猛威を振るい、コート・ド・ボーヌ地区では収穫の10%~40%が被害にあった、という推計もある。8月は暖かく晴れ間もありこのヴィンテージを救うこととなったが、収穫自体は雨の中で行われた。コート・ド・ボーヌ地区では滝のような雨に見舞われたが、コート・ド・ニュイ地区ではそこまで激しくはなかった。傾向としてぶどう樹は多くの実を付け、房は大きく、果皮は薄かったため、収量を制限しなかったところではしっかり熟したぶどうが造れず、セラーで補糖をすることになった。酸は平均より低めで、腐敗した実はしっかり取り除かなければならなかった。

今日、2000年のブルゴーニュの赤ワインはほとんどが完全に熟成しており、あまり成功しなかったものの一部ではピークを過ぎつつある。北部のコート・ド・ニュイ地区が最も成功しているが、品質の指標はアペラシオンより生産者だと言える。1999年、2001年そして2002年の最高のワインのような深みや複雑さは持ち合わせていないが、2000年のトップワインは、しなやかで受け入れやすくチャーミングだ。最近、ジスレーヌ・バルト、デュジャック、アルマン・ルソー、シャンドン・ド・ブリアイユ、デュガ・ピィ等のワインを楽しむ機会に恵まれたが、2000年ヴィンテージは紛れもなく熟成のピークとして飲む価値のあるものだ(1999年や2002年の最高のものは、まだピークに達していない)。2000年は見極めや選択が必要なヴィンテージではあるが、注意深く探せば、飲み頃の近い素敵なワインにまだ沢山出会えるだろう。

ヴィンテージ2001:
結実が短期間で終わった2000年に対し、2001年は開花が以上に長引き、同じ畑の中でも全てが開花し終わるまでに数週間もかかった。そのため、実が均一に成熟する見込みも、いつものことだがかなり低くなった。暖かく湿った春は病害のリスクをもたらし、夏は晴れ間が少なく涼しく、雨も頻繁に降った。ヴォルネイ、ポマール、モンテリーは、8月2日の雹で大打撃を受けた。丘陵地帯全体で、ぶどうの皮は2000年より厚く、生理学的に成熟するのは簡単ではなかった。この年もまた、収量を抑えることと(ぶどうの)厳しい選別が、成功には不可欠となった。酸は平均より高かったため、マロラクティック発酵が終わってやっと落ち着いた。

しなやかで受け入れやすい2000年と比べ、2001年のブルゴーニュの赤ワインは明らかに堅固で、酸がより前面に出て、色調も濃く、骨格はチョーキーなタンニンに支えられている。ベストなワインはやっと飲み頃に入ったばかりで、まだそこまで達していないワインもある。繰り返しになるが、2001年は“生産者”のヴィンテージと言われるが、このヴィンテージの全ての可能性を引き出せた生産者は、凝縮し骨格のしっかりした、素晴らしい熟成ポテンシャルを秘めたワインを造った。先日、ロベール・シュヴィヨン、ミュニュレ・ジブール、クロード・デュガ、ドルーアンそしてルーミエの素晴らしい2001ヴィンテージを楽しんだ。いくつかは、まだ後10年以上ポジティブな展開が期待できることが明らかだった。もちろん、成功できなかった生産者のワインは、薄く痩せて、熟成由来のキャラクターが前面に出ており、そういうものも多かった。しかし、概括すると、2001ヴィンテージは2000ヴィンテージよりチャーミングではないとしても、ベストな状態であればよりシリアスなワインで、量的には2000年を上回っている。

この記事に出てくるコメントの多くは、Sarah Marshマスターオブワインが企画しロンドンで行われた、ブルゴーニュ赤ワイン2000&2001ヴィンテージの試飲会の時のものだ。そこで試飲した蔵出し35銘柄の私のメモに、それ以外で最近試飲した同ヴィンテージのワインのコメントを補完した。ポンソのシャンベルタンやクロ・ド・ラ・ロッシュ、ルソーのクロ・サン・ジャック、ドルーアンのミュジニー、クロード・デュガのジュヴレ・シャンベルタン・プルミエ・クリュ等、抵抗し難い2001ヴィンテージの最近のコメントを載せた私のバックナンバー、“Up From the Cellar 26” をもう一度読んでみようと思う読者もいるかもしれない。ベルナール・デュガ・ピィのマジ・シャンベルタン2000の最新のコメントもご覧あれ。

2018年05月01日