2021年のフランスワイン生産量 23%の減少

Agreste Conjoncture  Viticulture4/4 Novembre 2021 - n°2021-150
2021年のワイン生産量 23%の減少

フランス農業食糧省の政策実施機関であるフランスアグリメールの情報を、統計機関(SSP)が11月1日に発表した予測によると、2021年のフランスのワイン生産量は約3,600万hlで、2020年と比べ23%の減少、過去5年間の平均と比較しても18%の減少。春の遅霜の影響が大きく、生産量は1991年や2017年をも下回る見通しだ。地中海沿岸地域の収穫量は、前回の予測より上方修正された。 収穫前の降雨が果粒の肥大を促進したためである。

2021年11月1日に発表された予測によると、2021年のワイン生産量は3,610万hlとなる見通し。

この史上稀に見る減少は、同じように春の遅霜で生産量が大きく落ち込んだ1991年と2017年をも下回る。収量は1991年に近いとの見通し。1991年から2021年までの生産量の減少は、ワイン用のぶどう畑が年々減少している結果でもある。

地中海沿岸地域の生産量は、前回の予測から上方修正された (120万hlのプラス) 。ラングドックとルーションでは、春霜による減少が最終的には当初の予想ほどひどくはならないことが明らかになった。収穫前の降雨のおかげで、果粒の肥大も促進された。 しかしながら、この地方でも生産量は前年を下回っている。

他のワイン産地もほぼ全て春霜の影響を被っており、ぶどう品種や地域によって影響の度合に差が出ている。
品種では、シャルドネやメルロ等の早熟品種の芽が最も被害を受けた。地域的にはブルゴーニュとジュラが最も影響が大きかった。ロワール、南西地方、ローヌ、プロヴァンスのぶどう畑では、花ぶるいやミルランダージュ等の結実障害が起きた。夏には湿気の多い天候に植物の強い成長力が結びつき、べと病、うどんこ病や黒腐病などの発生を助長し、多くのワイン産地で生産量の減少に拍車をかけることになった。

収穫時期は前年より遅く、標準的なスケジュールに戻った。

カテゴリー別生産量予測
「AOPワイン」・「蒸留酒向けワイン」・「IGPワイン」・「その他(地理的表示のないワインを含む)」のカテゴリー別で見てみると、生産量は全てのカテゴリーで前年に対し減少している。過去5年間の平均に対しては「蒸留酒向けワイン」のみが増加、「AOPワイン」・「IGPワイン」「その他(地理的表示のないワインを含む)」では減少となる見込み。
AOPワイン:対前年22%減の1,485万hl(過去5年平均に対し26%減)、蒸留酒向けワイン:対前年11%減の960万hl(同12%増)、IGPワイン:対前年27%減の975万hl(同21%減)、その他(地理的表示のないワインを含む):対前年47%減の194万hl(同42%減)。

各地の状況: ( )内の数字は「2021年予想収穫量」・「対前年増減率」・「過去5年平均に対する増減率」
ラングドック・ルーション(920万hl、-27%、-23%)
ラングドック及びルーションでは、生産量が前回の予測より上方修正された。春霜による影響が当初の予想ほどひどくなく、晩熟品種は被害が少なかったためだ。収穫前の降雨が遅摘みワインにとって恵みの雨となり、生産量は増加の見通し。春霜の影響が特に大きかったのはエロー県。この地域全体の生産量だが、最終的には対前年27%減となる見込みだ。

南東部(459万hl、-15%、-11%) コルシカ島(31万hl、-9%、-1%)
コート・デュ・ローヌでも収穫前の降雨のおかげで収穫量が上方修正された。しかしながら春霜や花ぶるい、病気や害虫等、様々な打撃を被った。 コルシカ島では旱魃の影響で生産量が減少となる見込みだ。 

シャンパーニュ(152万hl、-26%、-37%)
シャンパーニュの収穫は、過去10年平均より1週間遅い9月中旬から10月初旬に行われた。春霜と病気で受けた打撃は大きかった。生産量は過去40年で最も少なく、リザーヴワインに頼ることになりそうだ。 

ブルゴーニュ・ボ-ジョレ(118万hl、-50%、-49%)
ブルゴーニュでは、腐敗の広がりを抑えるため収穫が前倒しで行われた。霜や雹、そして病気の為、収穫量はかなり減少した。白ワインへの影響が特に大きく、ヨンヌ県では収穫の3分の2に被害が及んだ。ボージョレでも霜や病気の影響は大きい。前回の予測から僅かに上方修正されたものの、ブルゴーニュ・ボ-ジョレ全体の生産量は、平均値と比べ半分に落ち込むとの見通しだ。

アルザス(89万hl、-12%、-19%)
収穫は好条件の下10月に行われた。 しかし夏は雨が多く、うどんこ病やべと病等の病気が広がりをみせた。4月初め、霜の影響はあったが僅かだった。生産量は過去5年平均と比べ、約20%の減少となる見通し。 

サヴォワ(9万hl、-22%、-21%) ジュラ(2万hl、-77%、-75%)
サヴォワでは収穫の遅れが生産量に響いている。ジュラでは春の霜や雹の後、夏には雨が多く病気が急増した。生産量は平年の僅か4分の1との見通し。 

ロワール(179万hl、-37%、-30%)
収穫は好条件の下行われた。収穫前の降雨のおかげで、収穫量は増加した。春霜の影響はロワール全域に及び、特にサントル地区の被害が大きかった。生産量は過去5年平均と比べ大きく減少する見通し。

シャラント(977万hl、-10%、+13%)
収穫は穏やかな天候の下、10月中旬に終了した。夏の降雨が果粒の肥大を促進してくれた。霜の被害は他のワイン産地と比べて最も少なかった。主要品種のユニ・ブランがほとんど影響を受けなかったからだ。記録を更新した2020年と比べ、今年の生産量は過去5年平均を上回る程度の見込みだ。

ボルドー(390万hl、-22%、-25%)
赤ワイン用の収穫が10月に終了した。霜、花ぶるいやミルランダージュ、そして夏には病気が広がり、収穫減につながった。生産量は過去5年平均と比べ25%減との予測。

南西地方(234万hl、-34%、-34%)
春の霜、花ぶるいやミルランダージュ、そして病気などで生産ポテンシャルが下がった。被害が大きかったのがロット県、ランド県、オート・ガロンヌ県。ジェール県では収穫前の降雨が収穫量を増加させた。

2021年11月15日