プリムール: ボルドーの戦略は功を奏すのか?
プリムール: ボルドーの戦略は功を奏すのか?
ルヴュ・ド・ヴァン・ド・フランス ジェローム・ボードアン 2024年6月18日更新
ボルドー2023プリムール商戦では、いくつかの格付けシャトーが大胆な価格の引き下げにに踏み切った。これだけで販売を再び軌道に乗せることができるのだろうか?
4月末、2023年産のプリムールの最初の発売価格が発表されたが、グラン・クリュ・ド・ボルドーのメッセージは明確である: 国際市場とワイン愛好家に向け、以前のヴィンテージをはるかに下回る価格でワインを提供することで再スタートを切ることだ。シャトー・ラフィット・ロートシルト(ポイヤック)の-
32%を皮切りに、シャトー・レヴァンジル(サンテミリオン)が- 39%、シャトー・レオヴィル・ラス・カーズ(サンテステフ)が- 51%、歴史的な値下げに向けての雰囲気が固まった。
にもかかわらずキャンペーンの動きは緩慢だった。アメリカなどの大市場は期待されたほどの反応を示さない。よくあることだが、非常に高価なワインの価格が大幅に下落した場合、より安価な格付けワイン
(40 ユーロ未満) は、生産コストの削減は難しいため、限界ぎりぎりの値下げを強いられることになる。
今回はヴィンテージの品質が問題なのではない。不利な経済状況がボルドーの人々に価格を下げるように促したのだ。というのは、2023は予測よりはるかに良いからだ。確かに2022年と比べれば華やかさや豊かさでは劣るものの、より早く開き、若いうちから飲みやすいという利点がある。まさに消費者向けのヴィンテージなのだ。
ボルドー・ヨーヨー
歴史を振り返ってみると、ボルドーでは過去にもっと大幅な値下げを行っている。例えば2001ヴィンテージは、2000年に比べ価格が大きく下落した。世界経済危機の影響で、2008年も2007年に比べ価格は大きく下落した。格付け1級のラフィット、マルゴー、ムートン・ロートシルトは、2007年の312ユーロから2008年の171ユーロまで値下がりしたが、翌2009年には700ユーロに再上昇した。近年のボルドーで最大の下落は2011ヴィンテージで、その平均価格は、2010年に比べ44%下落した。2010年は中国人バイヤーに大変人気があったが、長続きはしなかった。
2011年以降のボルドー・グランヴァンの価格の推移を見てみると、この「ヨーヨー」効果(価格の上下)が2000年代初めほど激しくはないことが見て取れる。まるで経済的苦境に直面してボルドーが通常の価格に戻っているかのようだ。最後になるが、ボルドー格付けワインの15年前からの平均価格は2006年から37%という、インフレと同様上昇を続けている。
5つの格付けシャトーのプリムール価格の変遷(2000年-2023年)
2000年から2023年の間、オーゾンヌとラフィット・ロートシルトは驚くべき変動を記録している。それとは反対に、ドメーヌ・ド・シュヴァリエの白は、一貫性のある変化のモデルである。