2019年のフランスワイン生産量は4,220万hlの見通し

2019年のワイン生産量は4,220万hlの見通し

Agreste Conjoncture  Viticulture4/4 Novembre 2019 No.2019-167

フランス農業・食糧省統計局(SSP)が11月1日に発表した予測によると、2019年のフランスのワイン生産量は4,220万hlで、2018年と比べ15%の減少、過去5年間の平均に対しても7%減少するとの見通しだ。局地的な春の霜、花ぶるい、ミルランダージュ、そして熱波や夏の干ばつなどの影響で、過去5年では歴史的に低収量だった2017年に次ぐ、低い水準の収穫となる。

2019年11月1日に発表された予測によると、2019年のフランスのワイン生産量は4,220万hlとなる見通し。

2019年の収穫量は、ぶどうの開花や成長の時期に天候に恵まれた2018年と比べ15%減少。過去5年では、広い範囲で霜の被害を受けた2017年に次ぐ少ない収穫となりそうだ。

春に霜の被害を被った畑の多くが、その後も雨や気温が上がらない恵まれない条件下で開花時期を迎え、花ぶるいや結実不良につながった。フランス西部の沿岸地方が最も打撃を受けた。

その後、6月から7月にかけて熱波に襲われ、特に影響を受けたのが南仏のガール県、エロー県、ヴァール県で、ぶどうが日焼けし収穫量が減少した。畑の土壌に貯留されている水分は、7月1日時点、既に過去30年の平均値を下回っていたが、夏の間さらに減少を続けた。8月と9月に僅かな雨が降ったが不十分な量で、加えて大半のワイン産地では降るタイミングが遅すぎた。収穫時期までこの干ばつと高い気温が続いたため、収穫量は減少となった。

夏の間気温が高く水分ストレスにさらされていたため、病気のリスクは大半のぶどう畑で2018年と比べ低かった。

11月1日現在、全体的に見て収穫は健康な状態で終了している。

「AOPワイン」・「蒸留酒向けワイン」・「IGPワイン」・「その他(地理的表示のないワインを含む)」のカテゴリー別で見てみると、生産量は全てのカテゴリーで前年に対し減少、過去5年間の平均に対しても「IGPワイン」以外のカテゴリーで全て減少の見込み。「IGPワイン」のカテゴリーは、過去5年間の平均に対し1%増加の見込み。
カテゴリー別生産量予測 / AOPワイン:対前年13%減の1,943万hl(過去5年平均に対し7%減)、蒸留酒向けワイン:対前年22%減の765万hl(同10%減)、IGPワイン:対前年2%減の1,240万hl(同1%増)、その他(地理的表示のないワインを含む):対前年40%減の268万hl(同24%減)。

各地の状況: ( )内の数字は「2019年予想収穫量」・「対前年増減率」・「過去5年平均に対する増減率」

シャンパーニュ(252万hl、-26%、-4%)
熱波の影響でぶどう畑の10%が日に焼け、ミルランダージュが多く発生した。霜や雹など春の悪天候による収穫量への影響は、シャンパーニュではそれほどでもなかった。生産量は昨年を下回る見通し。

ブルゴーニュ・ボ-ジョレ(189万hl、-36%、-21%)
ブルゴーニュ: マコネで霜、シャロネーズで雹、花ぶるいやミルランダージュ、そして夏の干ばつがぶどう畑を襲った。ブルゴーニュで被害が最もひどかったのはソーヌ=エ=ロワール県で、ぶどうは実も房も小さかった。
ボージョレ: ミルランダージュの後に雹の被害、そしてぶどうの日焼けと干ばつとがぶどう畑に痛手を負わせた。
ブルゴーニュ・ボージョレ地区の生産量は、過去5年平均を大幅に下回る見込みだ。

アルザス(102万hl、-21%、-7%)
収穫はほぼ終了している。花ぶるいと干ばつの影響を受けた。生産量は2018年を下回る見通し。

サヴォワ(11万hl、-13%、+3%) ジュラ(6万hl、-54%、-29%)
サヴォワでは恵まれた天候の下収穫が行われた。ジュラでは多くの畑が霜の被害を受けた。

ロワール(237万hl、-30%、+11%)
収穫は10月中旬に終了した。春の霜に続いて花ぶるいやミルランダージュ、そしてぶどうの日焼けと干ばつと続き、収穫のポテンシャルが大きく損なわれた。ペイ・ド・ラ・ロワール地方が特に影響を受けた。生産量は過去数年の量を下回る見通し。

シャラント(776万hl、-22%、-9%)
収穫は10月下旬に終了し、健康なぶどうが収穫できた。霜、そして特に花ぶるいやミルランダージュが影響し、生産量は減少の見通し。

ボルドー(509万hl、-8%、-6%) 南西地方(344万hl、-11%、-3%)
ボルドーでの収穫は全て終了している。熱波の影響で収穫量は減少した。一部の畑では春の霜や雹の被害を受けた。生産量は2018年を下回る見通し。南西地方でも収穫は終わっており、衛生状態のよいブドウを収穫できた。春の霜や花ぶるい、夏の熱波や干ばつなど様々な天候不良のため、多くの畑で収穫のポテンシャルが大きく損なわれた。霜害を受けたロット県が特に影響を受けた。     

ラングドック・ルーシヨン(1,180万hl、-7%、-5%)
収穫は10月中旬に終了している。収穫直前という遅いタイミングで雨が降り、生産量の予測は上方修正されたものの、対前年および過去5年平均どちらと比べても生産量は下回る見通し。最も減少したのがピレネー・オリエンタル県、一方、夏に恵みの雨が降ったオード県の西部が最も影響が少なかった。夏の熱波でぶどうが日焼けし、特にガール県・エロー県で生産量が落ち込んだ。ガール県の平野部では春の霜の被害が大きかった。

南東部(514万hl、+1%、-4%)
収穫は、2018年と比べ多少遅れて終了した。ヴォークリューズ県およびヴァール県の生産量は、前回の予測から下方修正され、「IGPワイン」・「地理的表示のないワイン」は干ばつの影響で特に減少した。生産量は2018年に近い予測だが、過去5年平均は下回る見通し。

コルシカ島(30万hl、-10%、-8%)
遅い時期に雨が降ったものの、夏の干ばつや春のミルランダージュの影響は強く、10月の予測から下方修正となった。

 

2019年11月18日