フランス・アグリメールによるワイン経済への影響
フランス・アグリメール、新型コロナウイルスによるワイン経済への影響をまとめる
Par Adeline Haverland Publié le 05/06/2020 À 18H00
フランス農水省関連団体のワイン部門が、新型コロナウイルスによるロックダウン期間の状況をはじめてまとめ、5月11日のロックダウン解除後、消費が回復していると言及している。しかしこの報告は、ワインの種類によってはかなり差があることを内に含んでいる。
アメリカのフランス産ワインへの追加関税、ロックダウンによる消費の減少等、2020年の初め、フランスのワイン産業は困難に見舞われた。その結果、3月・4月はフランスワインの需要(酒庫での売買契約ベース)は落ち込み、地理的表示のないワイン(VDF
SIG)は対前年-57%まで減少した。
大きな格差
「報告にある数字はかなり不均一なものなので、解釈には細心の注意が必要だ。」フランス農水省の関連団体、フランス・アグリメールで経済研究を担当するFlorian
Angevin氏はこう話す。「アッサンブラージュのロゼワイン(IGP、44%増)のように需要が増加しているものがある一方で、白のヴァラエタルワイン(VDF
SIG、66%減) のように落ち込みがはげしいものもある。」
シャンパーニュは大打撃
ロックダウン期間全体でみると、スーパー及び大型スーパーでのワインの売上は対前年2.9%減少した。
この期間特に苦しめられたのがスパークリングワインで、中でもシャンパーニュが特に影響を受けた。ロックダウン期間のピーク時には、スパークリングワインの売上げは前年同時期と比べ64%の減少。フランス・アグリメールの研究員、Pauline
Cuenin氏は、「4月、シャンパーニュの消費量は数量ベースで62.8%、金額ベースで51.6%のマイナスとなった。」と説明した。
価格の上昇
消費が伸び続けているイタリア産プロセッコ等、フランス産より安く販売されている外国産ワインの状況はもう少し良い。Cuenin氏は「消費者は支出を減らし、値段の手ごろなものに集中している。」と付け加えた。
というのは、数量ベースで減少しているにもかかわらず、この期間のフランスワインの値上がりは顕著で、アッサンブラージュのロゼワインの価格は7%も上昇している。その結果、「競争相手、特にイタリアワインやスペインワインとの価格差はやや広がってしまっている。」とFlorian
Angevin氏は嘆く。
回復のきざし
5月11日のロックダウン解除以降、ワイン業界は回復しつつあるようだ。フランス・アグリメールは様々なワイン全体について、動きが再び活発になっていると言及している。「5月中旬からスティルワインの消費は上昇に転じ、需要は去年の同時期と比べ18%増加している。」とPauline
Cuenin氏は話す。
スパークリングワインはどうかと言えば、既に苦境は脱したようだ。というのも、ロックダウン開始2週目が価格の底で、そこを折り返しとし上昇に転じているからだ。
Cuenin氏は「良い数字がでているが、他の流通機構での損失を補うには十分でない。」と話す。フランスでワインの消費の1/3を占めるレストランやバーにも照準を合わせなければならない。
ワインからエタノール
ワイン生産者が売れない在庫ワインを捌く、という観点から、EUはアルコールを蒸留してバイオエタノールやアルコール消毒ジェルをつくることを可能とした。
フランスでは承認された33の蒸留酒製造業者が、6月5日よりこの活動を始めることができる。EUが認めたこの例外措置の適用期間は10月15日迄である。