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<アメリカ>銀行が見るワイン産業の現状

シリコンバレー銀行の報告書によると、アメリカのワイン販売は依然苦戦している


シリコンバレー銀行は最新のアメリカワイン報告書で、消費者需要の低下と過剰生産に対する懸念が浮き彫りになっているが、プレミアムボトルの販売は金額ベースで増加し続けていると伝えた。
クリス・マーサー decanter.com 2024年1月22日

シリコンバレー銀行(SVB)の2024年「アメリカワイン産業の現状」報告書に掲載された速報値によると、ワインカテゴリーの総売上高は2023年の数量ベースで2~4%減少すると予想されている。

若い消費者がワインを購入しているかどうかを問い、さらにスピリッツとの競争にも焦点を当てている前回の報告書からテーマが引き継がれていた。

「ワインを好みのアルコール飲料と考えるアメリカの消費者は減少している。 代わりに、彼らはカテゴリーの枠を超えてアルコールを飲んでいる。 12ドル未満で生産されたワインの売上げはここ数年減少している。」と報告書は述べている。

また、アルコールを飲まないことを選択する人も増えている、と指摘した。

需要の緩やかな減少に直面して、米国のワイン産業は現在「過剰生産するようになってきている」と警告し、フランスなど他のワイン生産国でも同様の懸念が広がっていると述べた。

報告書の筆者でSVBワイン部門の創設者であるロブ・マクミラン氏は、「将来の(消費者)需要の改善は、新規の消費者や若い消費者を引きつけ、他の飲料や大麻生産者から市場シェアを奪い、人気のないブランドや価格帯での広範な値引きにつながる過剰生産に対抗する業界の能力にかかっているだろう。」と述べた。

プレミアムワインの価値は今もなお上昇
報告書では、1本12ドルを超えるプレミアムワインには引き続き明るい兆しがあり、売上高は2023年の金額ベースで1~4%増加する、と予想している。

「プレミアムワインの価値は依然として成長しているが、2023年に販売された2020ヴィンテージの収穫量が少なめだった影響もあり、2023年の販売量は最終的には減少で終わるだろう。」と同誌は述べた。

「これらのプレミアムワインを生産するワイナリーは、ここ数年で最も質の良い収穫とバランスの取れた在庫ポジションを持って2024年を迎えるため、アメリカの経済状況が軟化した場合でもこのセグメントにある程度の柔軟性を与えることができる。」

ナパバレーのワイン生産者は最近、この地域の 2023 年の収穫を「生涯最高のヴィンテージ」と表現した。

SVBがアメリカの500以上のワイナリーを対象に行った調査では、回答者の約70%が、財務状況は良好、非常に良好、または盤石であると回答した。

ワインの消費者直販(D2C)と価格
同報告書では、ワインの消費者向け直販(D2C)に関する見解の更新も行い、2024年には改善すると予測している。
ボトルの平均価格は上昇し続けているが、ワイナリーのコスト上昇をカバーするには必ずしも十分ではない、と述べている。

分析された主要産地の消費者直販の平均価格は次の通り:
ナパ/ 2023年84.2ドル、 2022年79.4 ドル、 2013年57.7ドル
オレゴン/ 2023年57.7ドル、 2022年47ドル、 2013年32.1ドル
ソノマ/ 2023年50.6ドル、 2022年46.7ドル、 2013年37.6ドル
ワシントン/ 2023年45.2ドル、 2022年34.1ドル、 2013年25.8ドル

この最新の報告書が浮き彫りにしたその他の主要な傾向は、2023年のワイナリーのテイスティングルームへの訪問者数が2年連続で減少する見込みであることだった。

「この傾向は多くの人に懸念をもたらしているが、私はそれほど心配していない。」と報告書の著者マクミラン氏は述べた。

マクミラン氏は、航空旅客数の多さは、新型コロナウイルス後の2023年、人々が“延期されていた”海外(アメリカ以外)での休暇の遅れを取り戻していることを示唆している、と主張。 「人々の旅行が正常化するにつれて、2024 年にはテイスティング ルームへの来訪者数も増えると信じている。」

2024年01月26日

<トピック>カーボンフットプリントの試み~ビショー社

「誰もが懸念している」:アルベール・ビショー社はカーボンフットプリントを算定する予定


アルベール・ビショー社は先日、自社が生み出す温室効果ガス排出量のカウントを可能にする、炭素評価(un bilan carbone)を開始すると正式に発表した。 環境への影響をよく理解し、長期的に削減していく考えである。
Thibault Simonnet (thibault.simonnet@lebienpublic.fr) -LE BIEN PUBLIC 2023 年 11 月 12 日(11月14日更新)

3回ある説明会の第1回目は、11月初旬の午前中、アルベール・ビショー社の醸造所で始まった。白いプラスチックの椅子に座った従業員全員が、目の前を流れるIPCC(気候変動に関する政府間パネル)のグラフを注意深く見ていた。 PFCA Conseil のコンサルタント、パトリス・ブノワ氏は、45 分間、特に平均気温の上昇について話した。 ブルゴーニュでは過去40年間で気温が1.8℃上昇している。これらの説明会は、ボーヌに本拠地を置くアルベール・ビショー社の従業員160名を対象としており、同社が決定した炭素評価の最初の1歩であった。

「誰もが懸念している、懸念しているにちがいない。」
「この診断により、ポジションに応じて企業の CO2 排出量のスナップショットを取得できるため、企業は排出量が最も多いポジションや改善の可能性があるところに対処することができる。その後、多少の差はあれ長期にわたる行動が必要となる。投資が必要なものもあれば組織化が必要なものもあるだろう。」とパトリス・ブノワ氏は強調する。

アルベール・ビショー社は、異常気象に直面する今、自分たちの役割を果たす覚悟をしている。「たとえそれが一滴の水であろうと、皆で取り組まなければならない。これは実際のビジネスプランであり、誰もが懸念している、懸念しているにちがいない。これはマーケティングではない。企業のアプローチを従業員に知らせることは大切なことで、このテーマは大変重要なものだからだ。ワイン産業には果たすべき役割がある。我々は二酸化炭素排出量を削減しなければならず。それは我々全員の責務である。我々は決して高潔無比ではないが、大切なのは最善を尽くし正しい方向に進むことだ。我々はこの分野でリーダー企業とならなければならず、同業者をリードしていくのも悪くないではないか。最終目標は環境への負荷を減らすことだ。」アルベリック・ビショー氏はこう話し、ドメーヌのオーガニックへの転換や、数年前に締結したフランスの海に特化したタラ財団とのパートナーシップについて述べた。

大規模なデータ収集
この炭素評価の第一段階は、企業データ (商品やサービスの購入、人の移動、製品の流通など) の収集だ。時間がかかる作業のため、来年2月までかかるだろう。「例えば、企業は従業員の家から職場までの移動についてのデータを得なければならない。どこから、どんな種類の車で、どんな燃料を使って職場まで来るのか… この炭素評価はできるだけ正確に行いたいのだ。」ジョセフドルーアン社やブルゴーニュワイン委員会(BIVB)で顧問も務めたパトリス・ブノワ氏はこのような例を挙げ説明した。

アルベール・ビショー社が始めた小さな活動は、今後強化されていくことが予想される。「3年前、我々は重すぎるボトルを廃止した。ボトルの重さはワイン製造会社の炭素評価において平均約30%を占め最も多く、輸送がそれに続くことがわかっている。昨年は全ての段ボールを別のものに変更した。ニスが使われていなく80%がリサイクル段ボールで作られたものだ。当社のラベルは今後コットンベースで100%リサイクル素材にしていく。この炭素評価により、改善の余地がある箇所を検討できるようになる。」

「ワイン産業には果たすべき役割がある。我々は二酸化炭素排出量を削減しなければならず。それは我々全員の責務である。」
アルベリック・ビショー

2023年12月14日

2023年のワイン生産量4,7000万hlとの見通し

agreste INFO RAPIDES Viticulture №04/04 NOVEMBRE 2023 №138


2023年のワイン生産量4,7000万hlとの見通し


フランス農業食糧主権省の政策実施機関であるフランスアグリメールの地方局と連携し地方農業統計局が提供した情報を、SSPが11月1日に発表した予測によると、2023年のフランスのワイン生産量は約4,700万hlとなり、2022年と比べ2%増加、2018年から2022年の平均と比べ6%の増加となる見込み。

収穫が終了した時点で、状況は産地によって際立った違いを見せている。ボルドー、シュッド・ウエスト、シュッド・エスト、ラングドック・ルーションでは収穫量が減少。それ以外の産地では増加しており、特にシャンパーニュ、シャラント、ブルゴーニュでは明るい見通しだ。

2023年のワイン生産量は過去5年平均を上回る
2023年11月1日の発表によると、2023年のフランスのワイン生産量は約4,700万hlとの見通しで、対前年2%増、過去5年平均に対し6%増となる見込み。しかしカテゴリー別の状況は際立った違いを見せている。

カテゴリー別生産量予測:
AOPワインは対前年3%増、蒸留酒向けワインは18%増で過去最高、IGPワインは8%の減少。
「AOPワイン」・「蒸留酒向けワイン」・「IGPワイン」・「その他(地理的表示のないワインを含む)」のカテゴリー別で見てみると、「AOPワイン」・「蒸留酒向けワイン」の生産量は対前年も、過去5年間平均に対してもどちらも増加の見込みだが、「IGPワイン」・「その他(地理的表示のないワインを含む)」はどちらの指標も減少の見通し。
AOPワイン:対前年3%増の2,021.4万hl(過去5年平均に対し5%増)、蒸留酒向けワイン:対前年18%増の1,213.5万hl(同26%増)、IGPワイン:対前年8%減の1,168.8万hl(同5%減)、その他(地理的表示のないワインを含む):対前年8%減の312.9万hl(同4%減)。

各地の状況:
収穫が終了した時点で、多くの地域でワイン生産量の増加が見られたが、ボルドー、ラングドック・ルーション、シュッド・ウエストそしてシュッド・エストでは減少した。

( )内の数字は「2023年予想収穫量」・「対前年増減率」・「過去5年平均に対する増減率」
シャンパーニュ(370.7万hl、+16%、+47%)
ブドウの房は記録更新のレベルの重さだった。ボトリティスに侵されたものを選果して取り除いたにもかかわらず、生産量は対前年16%増、過去5年平均に対しても47%と大きく上回り、リザーヴワインも確保できる見通し。

ブルゴーニュ・ボ-ジョレ(275.7万hl、+12%、+22%)
生産量は記録を更新した2018年に匹敵し、特に白ワインが増加。ボトリティスの被害はなかった。県によってはリザーヴワインを確保できるところもありそうだ。ボージョレでは暑さが続く中最後の収穫が行われた。雷雨や雹に見舞われたものの生産量は良いレベルで、ブルゴーニュとボ-ジョレを合わせた全体の生産量は、前年も過去5年平均もどちらも大幅に上回る見通し。

アルザス(99.9万hl、+5%、-3%)
10月には最も遅い収穫も終了した。うどん粉病に悩まされたものの、生産量は2022年を上回った (+5%)が、2018年から2022年の平均は僅かに下回った(-3%).

サヴォワ(10.9万hl、+1%、+1%) ジュラ(13.5万hl、+35%、+64%)
サヴォワでは収穫は10月に終了し、収穫量は対前年も過去5年平均と比べても同レベルとなった。ジュラの収穫量は前年も過去5年平均も大きく上回る見通しで、過去最高の2018年に匹敵しそうだ。

ロワール(290.6万hl、+17%、+14%)
ボトリティスに侵された房を取り除く収穫時の選果で、生産ポテンシャルは多少減少した。とはいえ2年続いた不作の後なので、生産量は前年を上回り、過去5年平均も上回った。

シャラント(1,234.4万hl、+18%、+27%)
シャラントでは収穫まで天候に恵まれ(シーズン後半の気温上昇、十分な降雨)、大豊作となり(対前年+18%)、過去最高の2020年を上回った。リザーヴワインも確保できる見通し。

シュッド・ウエスト(259.3万hl、-9%、-21%)
べと病、うどん粉病や雹の被害、さらにそれに続いて夏の終わりの干ばつとぶどうの日焼けで、生産量は対前年も、過去5年平均と比べても著しく減少した。被害が最も大きかったはロット県で、収穫量は半減した。

ボルドー(413.0万hl、-7%、-15%)
ボルドーでは赤ワイン用の品種の収穫が終了した。白ワインのボリュームは妥当だが、赤ワインはべと病の広がりで地区によってばらつきがある。ボルドー地方全体の生産量は2022年を7%下回り、2018年から2022年の平均と比較すると15%の減少となる。

ラングドック・ルーション(1,134.6万hl、-10%、-5%)
干ばつの影響で生産量は2022年と比較して10%の減少、過去5年平均と比べても5%下回る。それでも灌漑で干ばつの影響は多少抑えられた。オード県では場所により状況は対照的だ。地中海沿岸では高い収量だが、それ以外の地域で収量は低い。ガール県だけが2022年の生産量を上回り、過去5年平均をも上回った。

コルシカ島(36.3万hl、+11%、+12%)
収穫は例年より遅く終了した。生産量は前年も過去5年平均も大きく上回り、過去10年の最高を記録した。

シュッド・エスト(514.7万hl、-5%、-1%)
猛暑で生産量が落ち込み、対前年では5%減、過去5年平均に近い。べと病や干ばつ、雹などが影響した。

2023年11月16日

ブルゴーニュ2013ヴィンテージ、10年を経て。

ブルゴーニュ2013ヴィンテージ、10年を経て。
ニール・マーティン 2023年10月17日 (VINOUS)

私は毎年バレルテイスティングでコートドールを縦横する際に、バックヴィンテージを再テイスティングするのが好きだ。 昨年、2013年の白か赤を抜栓できるか生産者達に尋ねてみた。10年の節目を迎えるボトルを開けることが多いからだ。 これは決してヴィンテージの包括的な概要ではないが、さまざまなワインがどのように進化しているのか、今開ける価値のあるヴィンテージなのか、それともまだ涼しく湿ったセラーに保管しておくのが最適なのかを知るための、リトマス試験紙的役割は果たしてくれるだろう。

2013 年のぶどうの生育期は非常に困難が多かった。 まず開花が遅く不規則で混乱したため、5 月末時点で成長サイクルが 2 週間以上遅れていた。それは多くの意味で悪名高き2021年のシーズンの先触れであり、絶え間なく降る雨で、殺菌剤を散布するための雨の降っていない時期を確保するのが極めて困難だった。 そして7 月 23 日は、悪い意味でワイン生産者の心に刻まれることになる。 その日は、雹を伴う嵐がサヴィニー・レ・ボーヌからヴォルネイ間一帯を襲った日だった。7月は暖かかったおかげでぶどう樹の成長は多少遅れを取り戻していたが、この月も散発的に激しい雨に見舞われた。カビは辺り一面に常に潜んでおり、葉だけでなく房も攻撃した。そのため、ぶどう樹を守るために殺菌剤を頻繁に散布する必要があったのだが、この時すでに場所によっては雨で地面が沼地化し始めていた。トラクターの運転は非常に困難になり、当局は必要に応じてヘリコプターによる散布を許可した。しかしこれはほんの一握りの生産者だけが利用できるオプションで、いずれにせよ、ダメージを与える鈍器となり得てしまう。有機もしくはビオディナミ栽培のぶどう樹が化学肥料を使う畑の隣にある場合などは特に、である。 8月は比較的穏やかな日が続き、ありがたいことに多少の休息をもたらしてくれた。多くが10月第1週までぶどう畑に入らなかったため、言わずと知れた非常に遅い収穫となった。1984年以降最も遅い収穫である。問題をさらに悪化させたのは10月5日と6日の大雨で、シーズン終盤に灰色カビが蔓延してしまった。損失を軽減しようと収穫チームはできる限り急いで収穫を進め、可能な限りぶどうの選果を行い、糖度の不足を補うために補糖した。 当然のことながらリリース時の品質には大きなばらつきがあった。明るくフレッシュで親しみやすいワインもあれば、カビや未熟なタンニンの影響が目立ったワインもあった。

2013ヴィンテージの白と赤を合わせて約75種類ほど再テイスティングしたところ、生育期の荒れた天候は、アペラシオンや生産者間のみならず、同じワインにおいても品質のばらつきの原因となっていた。しかし決して無視できるヴィンテージではないのも事実だ。私は2013年を、これも難しいヴィンテージで比較されがちな2008年より多少上にランク付けする。私がしばしば高く評価する優れた生産者達も、2013年にはかなり苦戦していた。10年を経た彼らのワインは現在、進歩なく行き詰っているか、今 飲まれるべきかのどちらかである。ここで私が思い浮かべているのは、マルサネのブリュノ・クレールやモレ・サン・ドニのヴィルジル・リニエ・ミシュロのような生産者たちだ。しかし、私のスコアをよく調べてみると、悪くないと思うものの評価は予想よりも高かった。もし2013ヴィンテージを要約する瞬間があったとすれば、シェ・ブルースのソムリエがドメーヌ・フランソワ・ビュッフェの2013ヴォルネイ・タイユピエ・プルミエクリュのボトルを、マスター・オブ・ワインを含むテイスティング経験豊富な人たちのテーブルで、ブラインドで注いだ時だ。あまりに美味しかったので、それが確かに私の持ち込んだものかどうか再確認するほどだった。赤いベリー系の香りが弾け、タンニンはレースのようで、他ではほとんど真似のできない純粋な果実味だった。ヴィンテージが明かされた時、食事を共にしていた仲間たちは驚いた。誰もビュッフェの名を聞いたこともなかったのだ。(もちろん、私のレポートを読んだら知っていただろうが!) 私が特に感銘を受けたのは、モレ・サン・ドニのドメーヌ・アルローで試飲したワインだ。この生産者のワインは、瓶熟成させるとオフヴォンテージのトレンドに逆行するのだ。一般的には赤ワインより不安定と考えられている白ワインにも、ドメーヌ・デュ・コント・ラフォンのムルソー・ペリエールやブシャール・ペール・エ・フィスのコルトン・シャルルマーニュなど、逸品があった。

結局のところ、ブルゴーニュ2013ヴィンテージは同じ年のボルドーワインより優れている。と言っても気のないほめ方であるが。しかし2013年のボルドーワインが、活気がなく熟していない印象を与えるのに対し、一方2013年のブルゴーニュワインは、正真正銘の偉大なヴィンテージとみなされることはないことを受け入れ、逆風に負けず最善を尽くしているようだ。何よりその年の苦労を忘れさせてくれる明るさ、シンプルな分かりやすさ、喜びと幸福が備わっている。2013年のブルゴーニュは赤ワインにも白ワインにも、予想を上回るものがさらにあるのではないか、と私は思っている。頑張って素晴らしいワインを見つけてほしい。

2023年10月17日

暑さのため収穫は早まり、ワインはより凝縮される

La Revue du vin de France Événements Vendanges
Avec les chaleurs, des vendanges bousculées, un vin plus concentré

ラ・ルヴュ・デュ・ヴァン・ド・フランス Événements Vendanges
暑さのため収穫は早まり、ワインはより凝縮される
2023年9月8日 larvf.com 編集部

ぶどうの収穫時期はズレ、ワインのアルコール度数は上がり、収量はおそらく減少。フランスで猛威を振るっている熱波は、ぶどう畑にも影響を与えている。

「手での収穫でも、機械を使っての収穫でも、暑さは作業できる時間を奪ってしまう。」フランスぶどう・ワイン研究所ヌーヴェル・アキテーヌ地域圏局長でエノログのロール・カイラ氏はこう説明する。炎天下の午後、収穫人は収穫の作業ができない。収穫機を使うワイン生産者の中には、夜の終わりか一日の始まりに集中して収穫を行う者もいる。

収穫から醸造所に到着するまでの間にぶどうが熱くなりすぎると、酸化のリスクが高まり、制御不能な発酵が始まり、いくつかの香りを生じさせる前駆体が変質してしまう、モンペリエにあるフランス国立農業・食糧・環境研究所(Inrae)の主任研究員、ジャン・マルク・トゥザール氏はこう説明する。

つまり、暑さは現行の収穫方法に影響を与えるということだ。機械での収穫は手作業に比べて繊細ではないものの、機械は夜間も稼働させることができる。一方人間は傷を負うリスクがあるので暗闇での手作業はできない。ぶどうが熱くなりすぎてしまった場合、生産者は醸造所に到着したぶどうに二酸化炭素を注入して冷やす、という選択もできる。

フレッシュさ不足のワイン
より一般的に言うと、熱は熟成という現象を加速させるのだ、とロール・カイラ氏は話す。アルコール度数を決定する糖分の増加がより早くなり、同時に、ワインの酸味、つまり味わいに影響を与えるリンゴ酸の含有量が減少する。そのため、生産者はすでに収穫のスケジュールを早めるようになっている。この「アルコール度数が高く酸が少ない」ワインは、消費者が期待する味わいや官能的品質に応えるよう、醸造所で調整することができる、とロール・カイラ氏は強調する。例えばより晩熟な品種とのブレンドや、酸の含有量を変更してワインにフレッシュさを与えることが、特に白ワインでは慣行となっている。

高温に対して、ブドウは品種によって受ける影響も変わってくる。「ソーヴィニヨンはほぼ全て収穫されている。」ロール・カイラ氏はこう指摘し、「通常であれば9月15日くらいまで焦ることなく収穫を待っているのだが、現在生産者たちはメルロの収穫に追われている。凝縮が進んでいるからだ。カベルネは晩熟なので特に大きな影響はない。」と付け加えた。

少ない収穫量
非常に暑い時にぶどうの房がまだ収穫されず樹の上にある場合、水分が蒸発しやすくなりぶどうが萎れてしまう。そして実のサイズが小さくなる。「おそらく、地域によっては平均収量の僅かな低下をもたらすだろう。」とジャン・マルク・トゥザール氏は述べ、遅霜と雹に見舞われ収穫量に影響が出た2021年ヴィンテージが繰り返されるという考えは除外した。

しかし「収量が多少減少し、糖分が多く、つまりアルコールが高くなることは、必ずしも悪いことではない」とトゥザール氏指摘した。

ぶどう畑・ぶどう栽培が適応していくことが必要不可欠
長期的にぶどうの成長サイクルを変化させ、収穫時期が前倒しされる気候変動を背景に、熱波はより頻繁に、より激しく、そのうえより広範囲に及ぶだろう、とジャン・マルク・トゥザール氏は言う。さしあたっては、ワイン生産者は常に敏感でなければならず、必要に応じて迅速に収穫を開始し、それに応じた醸造技術を適用する必要がある。

その後は、同じ地域より多様なブドウ品種を取り入れ収穫時期を分散させたり、剪定方法や土壌、灌漑の新しい方法等、もっと根本的な変化が必要になるだろう。

(AFP通信社配信)

2023年09月13日

ブルゴーニュの (気候の) ニューノーマル

Burgundy’s New (Climate) Normal
A tasting of 2003 Pinot Noirs and Chardonnays shows how well growers are adapting to warmer vintages

By Bruce Sanderson From the Aug 31, 2023, issue


ブルゴーニュの (気候の) ニューノーマル 
2003 年のピノ・ノワールとシャルドネのテイスティングでは、温暖なヴィンテージにいかに生産者がうまく適応しているかが示された。

ワイン・スペクテーター誌のシニア・エディター、ブルース・サンダーソン氏が、歴史的猛暑に襲われた2003年のブルゴーニュワインが20年経た今、印象的な熟成を遂げていると報告している。

気候変動は、世界中のワイン生産者にとって今やよく知られたブギーマンだ。ブルゴーニュでは1990年から暖かい年が何年か続いたが、重大な変化がこの地域を襲ったのはここ20年のことである。

2003年のブドウの生育期は、多くの生産者に甚大な影響を及ぼした。皆不意をつかれ慌てて収穫を始め、畑からセラーにブドウを運ぶためのトラックを借りるのに必死になった。収穫はその時点で1893年以降最も早いものとなった。8月中旬に収穫を始めたところもあれば、雨でブドウ樹が生き返るの待ち望み、8月末まで待ったところもあった。

2005年1月の「ルールを破るブルゴーニュ」というタイトルのコラムで私は、「ブルゴーニュについて知っていることを全て忘れてほしい。2003ヴィンテージはゲームのルールを変えてしまった。生産者もネゴシアンも誰もこのようなヴィンテージを経験したことがなく、関係者の多くはどのように対処するか悩んでいた。」と書いた。

2004年6月と2005年1月に、セラーで300種類以上の赤ワインと白ワインのテイスティングをした後、2003年の最高のワインは1947年や1959年のような伝説的なワインになるだろう、と確信した。メゾン・ルイ・ジャドのワインメーカー、ジャック・ラルディエールは私に、「グレイト・ヴィンテージはいつも酸度が低い。重要なのはアントシアニンとタンニンのバランスにある。」と言った。

なぜ2003年がこれほど良い年になったのだろうか?自然はきわめて重要な方法で、この極端な状況を補ったのだ。まず収量だが、平均して通常のヴィンテージの半分だった。ピノ・ノワールはとても熟したが、密度が濃く熟したタンニンに支えられていた。そして健康で、色が濃く風味は凝縮されていた。選別では、日焼けしたブドウは廃棄されたが通常より問題はなく、そして、収穫時期と醸造方法が、「収穫は早い時期に、抽出はわずか、もしくは全くしない」と決定されると、エルヴァージュは比較的簡単だった。

白ワインは話が違ってくる。非常によく、最高のワインは傑出する可能性もあるが、赤ワインには及ばない。一般的な見解は、白ワインは時間がたつにつれて良くなる、というものだった。しかし当時、白ワインを専門とするほとんどのドメーヌでは、白は若飲み用と勧めていた。

2013年にブルゴーニュを訪れた際、私は生産者らに、10年を迎える2003年ヴィンテージの赤ワインをテイスティングさせてもらった。テイスティングしたほとんどのワインは、とてもゆっくりと熟成しているように見えた。そして今年の2月、20年を経たそれらのワインがどのような味わいになっているか、とても知りたくなった。そこで、北はジュヴレ・シャンベルタンからコート・ドール南端のシャサーニュ・モンラッシェまで、赤ワイン8種、白ワイン6種、計14種類のワインをブラインドではなくテイスティングした。結果、すべてのワインが傑出した(90-94点)、もしくはクラシック(95-100点)という評価だった。私は、赤ワインはしっかりしていてこの先も十分熟成を続けられるのでは、と期待していたのだが、赤だけでなく全体的に楽しめるものだった。

熟した、時には過熟気味のプラムやシロップ漬けのチェリー、フルーツケーキ等の香りが際立つ。最高のものはバランスとフレッシュさを持ちあわせ、動物やミネラルの要素を伴った、森の下草やスパイスの風味を感じられた。

ルイ・ラトゥールのシャンベルタン・キュヴェ・エリティエ・ラトゥール(95年)はまだ若々しくフレッシュで、同じくルイ・ラトゥールのコルトン・シャトー・コルトン・グランセやロマネ・サン・ヴィヴァン・レ・キャトル・ジュルノーほど熟成が進んでおらず、果実味とミネラルの風味が凝縮されている。ルイ・ラトゥールの醸造責任者、ジャン・シャルル・トマは、収穫の開始は8月16日だったと回想する。「リンゴ酸がなく、発酵後もワインにあまり変化がなかった。アルコール度数と濃度が高いため、ワインの熟成がゆっくり進んだのだ。」と説明した。コート・ド・ボーヌではルイ・ジャドのボーヌ・クロ・デ・ジュルシュル(93年)とジョゼフ・ドルーアンのボーヌ・クロ・デ・ムーシュの赤(92年)が印象的だった。

大きな驚きは、白ワインがどれだけ素晴らしく熟成したか、ということだ。試飲したワインは意外な新発見であった。ヴェロニク・ドルーアンと私は、ボーヌ・クロ・デ・ムーシュの白(95年)を試飲した後、満面の笑みを浮かべた。ヘーゼルナッツ、トーストしたブリオッシュやトフィーの驚くべきブーケが特徴で、風味はアプリコットやピーチ、トースティーフィニッシュで余韻は長かった。コルトン・シャルルマーニュも優雅な熟成を遂げている。コルトン・シャルルマーニュではルイ・ラトゥール(95年)やフェヴレ(95年)が優れている。ルイ・ジャドのムルソー・シャルム(94年)は花やヘーゼルナッツ、ミネラルや蜂蜜の香りを放ち、テクスチャーが豊かだった。

ブルゴーニュの生産者は、影響を軽減する技術を畑やセラーに取り入れて、温暖化する季節にうまく適応している。ブドウ樹は暑さや干ばつに直面しても立ち直りが早い、との報告も多い。もし過去20年が我々に何かを示しているとしたら、それはブルゴーニュが他のワイン産地と同様に、気候変動から恩恵を受けているということだ。



2023年08月10日

2022年のワイン生産量4,540万hlとの見通し

Agreste Conjoncture  Viticulture4/4 Novembre 2022 - n°2022-141
2022年のワイン生産量4,540万hlとの見通し

フランス農業食糧省の政策実施機関であるフランスアグリメールの情報を、統計機関(SSP)が11月1日に発表した最終予測によると、2022年のフランスのワイン生産量は約4,540万hlに達し、2017年から2021年の平均と比べ6%の増加となる見込み。この増加は、特にシャンパーニュ、ブルゴーニュ、ジュラ、地中海沿岸地域、そしてシャラントでの増加によるものとみられている。

2022年のワイン生産量は過去5年平均を上回る
2022年11月1日に発表の最終予測によると、2022年のワイン生産量は4,540万hlに達する見通し。

春の遅霜による影響で2021年の収穫は落ち込んだが、今年の生産量は増加に転じ、2017年から2021年の平均を6%上回るようだ。昨年との比較では、蒸留酒向けワインを除くすべてのカテゴリーで増加の見通し。

2003年と同じく、収穫はすべてのワイン産地で例年より早く終了した。

今年霜や雹の影響を受けたのは、主に南西地方、シャラント、ロワール等の産地だ。

春からの雨不足と夏の猛暑のため、多くの産地で生産ポテンシャルが低下し、特に南西地方やアルザスで影響が大きかった。しかし、シャラント、シャンパーニュ、ブルゴーニュそしてラングドック等の産地では持ちこたえることができた。夏の終わりの降雨は、シャラントやラングドック・ルーションで生産量を増加させるプラスの結果をもたらした。

カテゴリー別生産量予測: 蒸留酒向けワインは減少
「AOPワイン」・「蒸留酒向けワイン」・「IGPワイン」・「その他(地理的表示のないワインを含む)」のカテゴリー別で見てみると、生産量は「蒸留酒向けワイン」を除いた全てのカテゴリーで前年に対し増加している。過去5年間の平均に対しては「その他(地理的表示のないワインを含む)」のみが減少、「AOPワイン」・「蒸留酒向けワイン」・「IGPワイン」では増加となる見込み。
AOPワイン:対前年25%増の1,998.3万hl(過去5年平均に対し6%増)、蒸留酒向けワイン:対前年2%減の930.7万hl(同4%増)、IGPワイン:対前年30%増の1,315.8万hl(同12%増)、その他(地理的表示のないワインを含む):対前年36%増の293万hl(同3%減)。

大半の産地で生産量が増加
各地の状況: ( )内の数字は「2022年予想収穫量」・「対前年増減率」・「過去5年平均に対する増減率」

シャンパーニュ(313.6万hl、+99%、+35%)
シャンパーニュでは、過去10年平均と比べ12日ほど早く収穫が終了した。夏前の雨で土壌が潤い、暑く病気が発生しないという、最適な条件に恵まれた年だった。生産量は、2017年から2021年の平均を上回る見込み。

ブルゴーニュ・ボ-ジョレ(255.4万hl、+61%、+16%)
ブルゴーニュでは収穫量が過去5年平均を大きく上回る見通し。ぶどうの良好な健康状態が保たれたからだ。ボージョレでは開花が順調だったため、当初は生産ポテンシャルが高いとの見込みだったが、その後の干ばつと雹でポテンシャルは下がった。終盤に雨が降ったが恵みの雨とはならず、ボージョレの生産量は過去5年平均を下回りそうだ。

アルザス(90.7万hl、+11%、-11%)
アルザスでは夏の終りに降雨があったが、春から続いた干ばつでの収量不足を補うまでには至らなかった。生産量は過去5年平均を下回ったままとなる見通し。

サヴォワ(10.4万hl、+32%、-2%)
サヴォワでも生育期終盤に降雨はあったが、干ばつの影響を補うことはできなかった。生産量は過去5年平均以下となりそうだ。

ジュラ(11.7万hl、+249%、+63%)
ジュラの生産量は、過去5年平均も、霜で大打撃を受けた前年も、どちらも上回る見込み。

ロワール(242.8万hl、+33%、-3%)
収穫は9月末に終了した。干ばつで生産量は減少、シャルドネが最も影響を受けた。生産量は、歴史的な少なさだった2021年は超えるものの、過去5年平均には届かない見通し。

シャラント(956.5万hl、-1%、+6%)
シャラントでは、夏の終わりの降雨のおかげで収穫量は増加した。収穫は15日早く始まり、9月末まで続いた。霜や雹の影響を受けた畑だが、干ばつには耐えることができた。生産量は、前回の予測よりは増加したものの対前年ではマイナス、過去5年平均は上回るとの予測だ。

ボルドー(450.4万hl、+9%、-5%)
ボルドーの収穫は9月末に終了した。4月の霜、6月の雹、そして干ばつが畑に影響を及ぼした。生産量は過去5年平均には届かないと見ている。

南西地方(261.2万hl、-8%、-21%)
収穫は例年より早く終了した。ほとんどの県で9月まで干ばつが続き、生産量は更に減少の見込み。特にジェール県で収穫が落ち込むとの見通し。収穫量は大きく落ち込んだ前年をさらに下回るとみられ、過去5年平均をも下回っている。

ラングドック・ルーション(1318.3万hl、+36%、+15%)
夏の終わりの降雨や、昨年のような霜の影響がなかったことが幸いし、収穫量は前回の予測より上方修正された。産地全体での収穫量は、対前年および過去5年平均どちらも上回る見通し。

南東部(526.1万hl、+10%、+6%)
南東部で最も干ばつの被害が大きかったのがヴォークリューズ県で、それ以外の県での収量は過去5年平均を超える見込みだ。ブドウの良好な健康状態は収穫時まで保たれた。

コルシカ島(34.3万hl、+8%、+8%)
夏の終わりの降雨のおかげで、当初の予測を上回る収量となった。

2022年11月21日

2021年のフランスワイン生産量 23%の減少

Agreste Conjoncture  Viticulture4/4 Novembre 2021 - n°2021-150
2021年のワイン生産量 23%の減少

フランス農業食糧省の政策実施機関であるフランスアグリメールの情報を、統計機関(SSP)が11月1日に発表した予測によると、2021年のフランスのワイン生産量は約3,600万hlで、2020年と比べ23%の減少、過去5年間の平均と比較しても18%の減少。春の遅霜の影響が大きく、生産量は1991年や2017年をも下回る見通しだ。地中海沿岸地域の収穫量は、前回の予測より上方修正された。 収穫前の降雨が果粒の肥大を促進したためである。

2021年11月1日に発表された予測によると、2021年のワイン生産量は3,610万hlとなる見通し。

この史上稀に見る減少は、同じように春の遅霜で生産量が大きく落ち込んだ1991年と2017年をも下回る。収量は1991年に近いとの見通し。1991年から2021年までの生産量の減少は、ワイン用のぶどう畑が年々減少している結果でもある。

地中海沿岸地域の生産量は、前回の予測から上方修正された (120万hlのプラス) 。ラングドックとルーションでは、春霜による減少が最終的には当初の予想ほどひどくはならないことが明らかになった。収穫前の降雨のおかげで、果粒の肥大も促進された。 しかしながら、この地方でも生産量は前年を下回っている。

他のワイン産地もほぼ全て春霜の影響を被っており、ぶどう品種や地域によって影響の度合に差が出ている。
品種では、シャルドネやメルロ等の早熟品種の芽が最も被害を受けた。地域的にはブルゴーニュとジュラが最も影響が大きかった。ロワール、南西地方、ローヌ、プロヴァンスのぶどう畑では、花ぶるいやミルランダージュ等の結実障害が起きた。夏には湿気の多い天候に植物の強い成長力が結びつき、べと病、うどんこ病や黒腐病などの発生を助長し、多くのワイン産地で生産量の減少に拍車をかけることになった。

収穫時期は前年より遅く、標準的なスケジュールに戻った。

カテゴリー別生産量予測
「AOPワイン」・「蒸留酒向けワイン」・「IGPワイン」・「その他(地理的表示のないワインを含む)」のカテゴリー別で見てみると、生産量は全てのカテゴリーで前年に対し減少している。過去5年間の平均に対しては「蒸留酒向けワイン」のみが増加、「AOPワイン」・「IGPワイン」「その他(地理的表示のないワインを含む)」では減少となる見込み。
AOPワイン:対前年22%減の1,485万hl(過去5年平均に対し26%減)、蒸留酒向けワイン:対前年11%減の960万hl(同12%増)、IGPワイン:対前年27%減の975万hl(同21%減)、その他(地理的表示のないワインを含む):対前年47%減の194万hl(同42%減)。

各地の状況: ( )内の数字は「2021年予想収穫量」・「対前年増減率」・「過去5年平均に対する増減率」
ラングドック・ルーション(920万hl、-27%、-23%)
ラングドック及びルーションでは、生産量が前回の予測より上方修正された。春霜による影響が当初の予想ほどひどくなく、晩熟品種は被害が少なかったためだ。収穫前の降雨が遅摘みワインにとって恵みの雨となり、生産量は増加の見通し。春霜の影響が特に大きかったのはエロー県。この地域全体の生産量だが、最終的には対前年27%減となる見込みだ。

南東部(459万hl、-15%、-11%) コルシカ島(31万hl、-9%、-1%)
コート・デュ・ローヌでも収穫前の降雨のおかげで収穫量が上方修正された。しかしながら春霜や花ぶるい、病気や害虫等、様々な打撃を被った。 コルシカ島では旱魃の影響で生産量が減少となる見込みだ。 

シャンパーニュ(152万hl、-26%、-37%)
シャンパーニュの収穫は、過去10年平均より1週間遅い9月中旬から10月初旬に行われた。春霜と病気で受けた打撃は大きかった。生産量は過去40年で最も少なく、リザーヴワインに頼ることになりそうだ。 

ブルゴーニュ・ボ-ジョレ(118万hl、-50%、-49%)
ブルゴーニュでは、腐敗の広がりを抑えるため収穫が前倒しで行われた。霜や雹、そして病気の為、収穫量はかなり減少した。白ワインへの影響が特に大きく、ヨンヌ県では収穫の3分の2に被害が及んだ。ボージョレでも霜や病気の影響は大きい。前回の予測から僅かに上方修正されたものの、ブルゴーニュ・ボ-ジョレ全体の生産量は、平均値と比べ半分に落ち込むとの見通しだ。

アルザス(89万hl、-12%、-19%)
収穫は好条件の下10月に行われた。 しかし夏は雨が多く、うどんこ病やべと病等の病気が広がりをみせた。4月初め、霜の影響はあったが僅かだった。生産量は過去5年平均と比べ、約20%の減少となる見通し。 

サヴォワ(9万hl、-22%、-21%) ジュラ(2万hl、-77%、-75%)
サヴォワでは収穫の遅れが生産量に響いている。ジュラでは春の霜や雹の後、夏には雨が多く病気が急増した。生産量は平年の僅か4分の1との見通し。 

ロワール(179万hl、-37%、-30%)
収穫は好条件の下行われた。収穫前の降雨のおかげで、収穫量は増加した。春霜の影響はロワール全域に及び、特にサントル地区の被害が大きかった。生産量は過去5年平均と比べ大きく減少する見通し。

シャラント(977万hl、-10%、+13%)
収穫は穏やかな天候の下、10月中旬に終了した。夏の降雨が果粒の肥大を促進してくれた。霜の被害は他のワイン産地と比べて最も少なかった。主要品種のユニ・ブランがほとんど影響を受けなかったからだ。記録を更新した2020年と比べ、今年の生産量は過去5年平均を上回る程度の見込みだ。

ボルドー(390万hl、-22%、-25%)
赤ワイン用の収穫が10月に終了した。霜、花ぶるいやミルランダージュ、そして夏には病気が広がり、収穫減につながった。生産量は過去5年平均と比べ25%減との予測。

南西地方(234万hl、-34%、-34%)
春の霜、花ぶるいやミルランダージュ、そして病気などで生産ポテンシャルが下がった。被害が大きかったのがロット県、ランド県、オート・ガロンヌ県。ジェール県では収穫前の降雨が収穫量を増加させた。

2021年11月15日

2020プリムール価格と分析

ボルドー復活: 2020プリムール価格と分析
シュヴァル・ブラン、アンジェリュス、レオヴィル・バルトンがプリムール販売を開始。ワイン愛好家はどこに価値を見出すか?
By Mitch Frank, Cassia Schifter
May 20, 2021

1年前パンデミックが猛威を振るう中、ボルドーのシャトーがどうやってプリムールキャンペーンを実施し、最新のヴィンテージを販売するのか、予測をするのも難しかった。しかし彼らはうまくやり抜けた。そして現在、2020ヴィンテージのプリムールキャンペーンが始まっており、主要なマーケットの状況は改善しているとは言え、例年とは全く状況は違うようだ。

アメリカのワイン愛好家やワイン商は、トップシャトーが昨年のように、大幅な値上げをしないかどうか興味津々だ。昨年は世界経済が不透明なため、多くのシャトーが価格の上昇をかなり抑えた。強いドルも助けとなり、有名なワインの多くは売れ行きが良かった。

経済は依然として不透明だが、今後半年でワクチン接種が加速し制限が緩和されることで、強い経済成長がもたらされる兆しがある。お金持ちはお金を使いたがっているのだ。これはボルドーのワイン生産者に、過去数年に見られた大幅な値上げが可能と、確信させるだろうか?

アメリカのバイヤーにとっては大きな落とし穴がある。ドルが今年ユーロに対して弱いことだ。つまり、シャトーが去年と全く同じプリムール価格でリリースしたとしても、アメリカ人はより多く支払うことになってしまうのだ。良い面はないか?ある。アメリカ政府がフランスワインへの関税を一時停止した為、大きな追加費用が削減されたことだ。

先週シュヴァル・ブランがプリムールキャンペーンを開始し、大成功を収めた。例によって売り出し価格がほとんど決まった中、市場に出た最初のビックネームとなった。2020の売り出し価格は1本あたり380ユーロ(exネゴシアン)で 、2019より2.7%上昇した。アメリカの大手小売業者の現在の平均価格は1本575ドル、1ケース6900ドルで、2019と比べ16%の上昇となる。安いとは言えないが、2015と2016の現在の市場価格(それぞれ849ドル、860ドル)より30%以上安くなっている。

今週はアンジェリュス、パヴィ、レオヴィル・バルトンがキャンペーンに加わった。アンジェリュスは大胆だった。これはサン・テミリオンの最高格付に昇格してからの傾向だ。売り出し価格は1本あたり260ユーロ(exネゴシアン)で 、2019の初値、230ユーロから13%の上昇だ。アメリカの大手小売業者はこれ1本379ドルで提供、2019と比べ23%の上昇だが、2015と2016の現在の市場価格より15%安い。  

アンジェリュスの隣人、サン・テミリオンのシャトー・パヴィの2020の売り出し価格は1本あたり240ユーロ(exネゴシアン)、2019と同じ価格だ。アメリカの小売業者の価格は339ドル、2019よりわずかに高いが、2015と2016の現在の市場価格と比べ20%以上も安くなっている。右岸のファンにとってはお買い得で先が楽しみだ。

左岸ではレオヴィル・バルトンがリリースした。2020の売り出し価格は1本あたり60ユーロ(exネゴシアン)で 、2019より16.3%の上昇だ。大手小売業者はこれ1本平均88ドル、1ケース1056ドルで提供している。2019と比べ約20%の上昇だが、2015と2016の市場価格より40%安い。

さて、ワインの出来はどうか?

2020ヴィンテージのクオリティの評価はまだ完全ではない。業界の中にはトップシャトーのバレルサンプルを試飲できた者もいるが、決して多くはない。世界中にサンプルを送ろうとしたワイナリーもあるが、結末はさまざま。このようにサンプル出荷に一貫性が無い状況を踏まえ、ワイン・スペクテイターでボルドーワインの主任テイスターを努める、シニアエディターJames Molesworth氏は、注目すべき全てのワインの公式のブラインドテイスティングが実施できるようになるまで、テイスティングを延期することを決めた。

2020年のぶどうの成長期の天候は完璧ではなかった。非常に雨の多い冬で、畑は多くの水を蓄えたが、雨は春になっても続き、カビや病気を引き起こす恐れがあった。その後暑く乾燥した季節を迎えたが、左岸では8月中順に大雨が降った。一方右岸では大部分で乾燥したままだった。収穫は早かった。暑さが拍車をかけたのだ。収穫量は2019年と比べ20~40%の減少だ。大手生産者はMolesworth氏に、左岸より右岸が良く、不均一なヴィンテージだ、と話した。

2021年05月20日

2020年のワイン生産量は4,470万hlの見通し

Agreste Conjoncture  Viticulture4/4 Novembre 2020 No.2020-158
2020年のワイン生産量は4,470万hlの見通し

フランス農業・食糧省統計局(SSP)が11月1日に発表した予測によると、2020年のフランスのワイン生産量は4,470万hlで、2019年と比べ6%の増加、過去5年間の平均に近いとの見通しだ。シャラントでは9月末の降雨の影響で、収穫量が前回の予測より上方修正された。

2020年11月1日に発表された予測によると、2020年のワイン生産量は4,470万hlとなる見通し。

2020年のフランスワインの生産量は、過去5年間では2017年に次いで低かった2019年と比べ6%の増加で、2015~2019年の収穫量の平均を多少上回る見通しだ。

AOPワインの生産量は前年とほぼ変わりないが、過去5年間の平均は下回る見通し(-5%)。新型コロナウィルスの世界感染で経済が悪化したため、シャンパーニュやアルザスのように、生産者間で収量の大幅削減に合意した産地もある。そのためシャンパーニュでは、一部のぶどうは収穫されなかった。

シャラントの生産量は、収穫ピーク時期の直前の9月末に雨が降ったため、前回の予測から上方修正された。ボルドーでは前回の予測時より土壌の乾燥が進んだため、生産量は下方修正された。南西地方でも旱魃のため生産量は増えなかった。南東部のヴァール県、ドローム件、アルデッシュ県では、霜で収穫に影響が出た。

収穫は、ほぼ全てのワイン産地で8月にスタートし、2019年と比べかなり順調に進んだ。Grand-Est地域圏(アルザス‐ロレーヌ、シャンパーニュ‐アルデンヌ)では過去最も早い収穫となった。

ルーションやボルドー地方、ヴァール県では春にべと病で被害が出たが、乾燥した夏のおかげで病気の広がりは抑えられた。

「AOPワイン」・「蒸留酒向けワイン」・「IGPワイン」・「その他(地理的表示のないワインを含む)」のカテゴリー別で見てみると、生産量は「AOPワイン」以外の全てのカテゴリーで前年に対し増加している(「AOPワイン」はほぼ増減無し)。過去5年間の平均に対しては「蒸留酒向けワイン」・「IGPワイン」では増加、「AOPワイン」・「その他(地理的表示のないワインを含む)」では減少となる見込み。
カテゴリー別生産量予測 / AOPワイン:対前年増減なしの1,947万hl(過去5年平均に対し5%減)、蒸留酒向けワイン:対前年13%増の888万hl(同7%増)、IGPワイン:対前年7%増の1,325万hl(同8%増)、その他(地理的表示のないワインを含む):対前年23%増の310万hl(同6%減)。

各地の状況: ( )内の数字は「2020年予想収穫量」・「対前年増減率」・「過去5年平均に対する増減率」

シャンパーニュ(203万hl、-16%、-20%)
シャンパーニュでは収穫が8月中旬にスタートし、2011年を抜き過去の歴史の中で最も早い収穫となった。豊作だったにもかかわらず、AOPワインの生産量は低く抑えられ昨年を下回った。

ブルゴーニュ・ボ-ジョレ(216万hl、+14%、-5%)
ブルゴーニュでもボージョレでも収穫のスタートは8月中旬と早く、猛暑のため急いで行われた。ボージョレでは2003年に次ぐ早い収穫となった。花ぶるいに続く旱魃、そしてぶどうの日焼けなどが、特にブルゴーニュの赤ワイン(ピノノワール)の収穫量に影響を与えた。それでもブルゴーニュ・ボ-ジョレを合わせた全体の生産量は非常に低かった昨年は上回るが、過去5年平均には届かない見通しだ。
アルザス(110万hl、+4%、+-0%)
収穫はほぼ終了しており、2017年に並んで過去最も早い収穫となる。旱魃にもかかわらず生産量は対前年を上回る見通し。しかしAOPワインに限ると、生産量は対前年を下回る。

サヴォワ(10万hl、+4%、-4%) ジュラ(10万hl、+85%、+23%)
サヴォワでは収穫は8月末に始まり、既に終了している。ジュラでは、旱魃で当初の予測ほどではなかったものの、霜で甚大な被害を被った2019年と比べ収穫はV字回復した。

ロワール(302万hl、+38%、+19%)
例年よりほぼ1ヵ月早い8月末に収穫が始まり、9月末にはほぼ全てが終了した。ペイ・ド・ラ・ロワール地方では、旱魃が予測よりひどかったため、10月に生産量が下方修正された。旱魃やぶどうの腐敗で収穫が早まり、サントル地区では収穫量の増加が抑えられた。

シャラント(898万hl、+14%、+7%)
9月末の降雨の影響で、収穫量が前回の予測より上方修正された。収穫は、過去10年平均より2週間早い9月中旬に始まった。

ボルドー(486万hl、-8%、-9%) 南西地方(331万hl、-1%、-7%)
ボルドー: 収穫は平年より約15日早く推移。旱魃の影響で、生産量は9月に下方修正された。南西地方: 収穫は終了している。旱魃で収穫量は抑えられた。ロット・エ・ガロンヌ県のビュゼ村では6月の雹でブドウ畑が甚大な被害を受け、生産量は対前年を下回る。ジェール県でも8月の雹で、同じく大きな被害を被った。

ラングドック・ルーシヨン(1,318万hl、+8%、+8%)
8月に恵みの雨が降ったエロー県では、生産量が上方修正された。開花時期からべと病にひどく悩まされ続けたルーションが、唯一生産量が対前年を下回った地域である。ラングドック・ルーシヨン地方全体では、生産量は対前年を上回る。

南東部(492万hl、-2%、-4%)
昨年より2週間早い収穫となった。ヴァール県のぶどう畑では春の霜、雹、べと病などで被害が発生し、生産量は対前年を下回る見通し。アルデシュ県、ドローム県では霜や旱魃の被害をこうむった。全体の生産量は対前年を下回る見通しだが、減少率は当初の予測よりは小さい。

コルシカ島(34万hl、+20%、+6%)
収穫は長い期間にわたって行われた。開花期の天候が良かったため、ぶどうは昨年より豊作だった。生産量は対前年を上回る。

2020年11月25日

フランス・アグリメールによるワイン経済への影響

フランス・アグリメール、新型コロナウイルスによるワイン経済への影響をまとめる
Par Adeline Haverland  Publié le 05/06/2020 À 18H00

フランス農水省関連団体のワイン部門が、新型コロナウイルスによるロックダウン期間の状況をはじめてまとめ、5月11日のロックダウン解除後、消費が回復していると言及している。しかしこの報告は、ワインの種類によってはかなり差があることを内に含んでいる。

アメリカのフランス産ワインへの追加関税、ロックダウンによる消費の減少等、2020年の初め、フランスのワイン産業は困難に見舞われた。その結果、3月・4月はフランスワインの需要(酒庫での売買契約ベース)は落ち込み、地理的表示のないワイン(VDF SIG)は対前年-57%まで減少した。

大きな格差
「報告にある数字はかなり不均一なものなので、解釈には細心の注意が必要だ。」フランス農水省の関連団体、フランス・アグリメールで経済研究を担当するFlorian Angevin氏はこう話す。「アッサンブラージュのロゼワイン(IGP、44%増)のように需要が増加しているものがある一方で、白のヴァラエタルワイン(VDF SIG、66%減) のように落ち込みがはげしいものもある。」

シャンパーニュは大打撃
ロックダウン期間全体でみると、スーパー及び大型スーパーでのワインの売上は対前年2.9%減少した。
この期間特に苦しめられたのがスパークリングワインで、中でもシャンパーニュが特に影響を受けた。ロックダウン期間のピーク時には、スパークリングワインの売上げは前年同時期と比べ64%の減少。フランス・アグリメールの研究員、Pauline Cuenin氏は、「4月、シャンパーニュの消費量は数量ベースで62.8%、金額ベースで51.6%のマイナスとなった。」と説明した。

価格の上昇
 消費が伸び続けているイタリア産プロセッコ等、フランス産より安く販売されている外国産ワインの状況はもう少し良い。Cuenin氏は「消費者は支出を減らし、値段の手ごろなものに集中している。」と付け加えた。
 というのは、数量ベースで減少しているにもかかわらず、この期間のフランスワインの値上がりは顕著で、アッサンブラージュのロゼワインの価格は7%も上昇している。その結果、「競争相手、特にイタリアワインやスペインワインとの価格差はやや広がってしまっている。」とFlorian Angevin氏は嘆く。

回復のきざし
 5月11日のロックダウン解除以降、ワイン業界は回復しつつあるようだ。フランス・アグリメールは様々なワイン全体について、動きが再び活発になっていると言及している。「5月中旬からスティルワインの消費は上昇に転じ、需要は去年の同時期と比べ18%増加している。」とPauline Cuenin氏は話す。
 スパークリングワインはどうかと言えば、既に苦境は脱したようだ。というのも、ロックダウン開始2週目が価格の底で、そこを折り返しとし上昇に転じているからだ。
 Cuenin氏は「良い数字がでているが、他の流通機構での損失を補うには十分でない。」と話す。フランスでワインの消費の1/3を占めるレストランやバーにも照準を合わせなければならない。

ワインからエタノール
 ワイン生産者が売れない在庫ワインを捌く、という観点から、EUはアルコールを蒸留してバイオエタノールやアルコール消毒ジェルをつくることを可能とした。
 フランスでは承認された33の蒸留酒製造業者が、6月5日よりこの活動を始めることができる。EUが認めたこの例外措置の適用期間は10月15日迄である。

2020年06月08日

2019年のフランスワイン生産量は4,220万hlの見通し

2019年のワイン生産量は4,220万hlの見通し

Agreste Conjoncture  Viticulture4/4 Novembre 2019 No.2019-167

フランス農業・食糧省統計局(SSP)が11月1日に発表した予測によると、2019年のフランスのワイン生産量は4,220万hlで、2018年と比べ15%の減少、過去5年間の平均に対しても7%減少するとの見通しだ。局地的な春の霜、花ぶるい、ミルランダージュ、そして熱波や夏の干ばつなどの影響で、過去5年では歴史的に低収量だった2017年に次ぐ、低い水準の収穫となる。

2019年11月1日に発表された予測によると、2019年のフランスのワイン生産量は4,220万hlとなる見通し。

2019年の収穫量は、ぶどうの開花や成長の時期に天候に恵まれた2018年と比べ15%減少。過去5年では、広い範囲で霜の被害を受けた2017年に次ぐ少ない収穫となりそうだ。

春に霜の被害を被った畑の多くが、その後も雨や気温が上がらない恵まれない条件下で開花時期を迎え、花ぶるいや結実不良につながった。フランス西部の沿岸地方が最も打撃を受けた。

その後、6月から7月にかけて熱波に襲われ、特に影響を受けたのが南仏のガール県、エロー県、ヴァール県で、ぶどうが日焼けし収穫量が減少した。畑の土壌に貯留されている水分は、7月1日時点、既に過去30年の平均値を下回っていたが、夏の間さらに減少を続けた。8月と9月に僅かな雨が降ったが不十分な量で、加えて大半のワイン産地では降るタイミングが遅すぎた。収穫時期までこの干ばつと高い気温が続いたため、収穫量は減少となった。

夏の間気温が高く水分ストレスにさらされていたため、病気のリスクは大半のぶどう畑で2018年と比べ低かった。

11月1日現在、全体的に見て収穫は健康な状態で終了している。

「AOPワイン」・「蒸留酒向けワイン」・「IGPワイン」・「その他(地理的表示のないワインを含む)」のカテゴリー別で見てみると、生産量は全てのカテゴリーで前年に対し減少、過去5年間の平均に対しても「IGPワイン」以外のカテゴリーで全て減少の見込み。「IGPワイン」のカテゴリーは、過去5年間の平均に対し1%増加の見込み。
カテゴリー別生産量予測 / AOPワイン:対前年13%減の1,943万hl(過去5年平均に対し7%減)、蒸留酒向けワイン:対前年22%減の765万hl(同10%減)、IGPワイン:対前年2%減の1,240万hl(同1%増)、その他(地理的表示のないワインを含む):対前年40%減の268万hl(同24%減)。

各地の状況: ( )内の数字は「2019年予想収穫量」・「対前年増減率」・「過去5年平均に対する増減率」

シャンパーニュ(252万hl、-26%、-4%)
熱波の影響でぶどう畑の10%が日に焼け、ミルランダージュが多く発生した。霜や雹など春の悪天候による収穫量への影響は、シャンパーニュではそれほどでもなかった。生産量は昨年を下回る見通し。

ブルゴーニュ・ボ-ジョレ(189万hl、-36%、-21%)
ブルゴーニュ: マコネで霜、シャロネーズで雹、花ぶるいやミルランダージュ、そして夏の干ばつがぶどう畑を襲った。ブルゴーニュで被害が最もひどかったのはソーヌ=エ=ロワール県で、ぶどうは実も房も小さかった。
ボージョレ: ミルランダージュの後に雹の被害、そしてぶどうの日焼けと干ばつとがぶどう畑に痛手を負わせた。
ブルゴーニュ・ボージョレ地区の生産量は、過去5年平均を大幅に下回る見込みだ。

アルザス(102万hl、-21%、-7%)
収穫はほぼ終了している。花ぶるいと干ばつの影響を受けた。生産量は2018年を下回る見通し。

サヴォワ(11万hl、-13%、+3%) ジュラ(6万hl、-54%、-29%)
サヴォワでは恵まれた天候の下収穫が行われた。ジュラでは多くの畑が霜の被害を受けた。

ロワール(237万hl、-30%、+11%)
収穫は10月中旬に終了した。春の霜に続いて花ぶるいやミルランダージュ、そしてぶどうの日焼けと干ばつと続き、収穫のポテンシャルが大きく損なわれた。ペイ・ド・ラ・ロワール地方が特に影響を受けた。生産量は過去数年の量を下回る見通し。

シャラント(776万hl、-22%、-9%)
収穫は10月下旬に終了し、健康なぶどうが収穫できた。霜、そして特に花ぶるいやミルランダージュが影響し、生産量は減少の見通し。

ボルドー(509万hl、-8%、-6%) 南西地方(344万hl、-11%、-3%)
ボルドーでの収穫は全て終了している。熱波の影響で収穫量は減少した。一部の畑では春の霜や雹の被害を受けた。生産量は2018年を下回る見通し。南西地方でも収穫は終わっており、衛生状態のよいブドウを収穫できた。春の霜や花ぶるい、夏の熱波や干ばつなど様々な天候不良のため、多くの畑で収穫のポテンシャルが大きく損なわれた。霜害を受けたロット県が特に影響を受けた。     

ラングドック・ルーシヨン(1,180万hl、-7%、-5%)
収穫は10月中旬に終了している。収穫直前という遅いタイミングで雨が降り、生産量の予測は上方修正されたものの、対前年および過去5年平均どちらと比べても生産量は下回る見通し。最も減少したのがピレネー・オリエンタル県、一方、夏に恵みの雨が降ったオード県の西部が最も影響が少なかった。夏の熱波でぶどうが日焼けし、特にガール県・エロー県で生産量が落ち込んだ。ガール県の平野部では春の霜の被害が大きかった。

南東部(514万hl、+1%、-4%)
収穫は、2018年と比べ多少遅れて終了した。ヴォークリューズ県およびヴァール県の生産量は、前回の予測から下方修正され、「IGPワイン」・「地理的表示のないワイン」は干ばつの影響で特に減少した。生産量は2018年に近い予測だが、過去5年平均は下回る見通し。

コルシカ島(30万hl、-10%、-8%)
遅い時期に雨が降ったものの、夏の干ばつや春のミルランダージュの影響は強く、10月の予測から下方修正となった。

 

2019年11月18日

ボルドー: 10年経た2009ヴィンテージを振り返る ‐ 今が飲み頃?

ボルドー: 10年経た2009ヴィンテージを振り返る ‐ 今が飲み頃?
Lisa Perrotti-Brown
15th Mar 2019 | The Wine Advocate | March 2019 Week 2

ルーベンスの絵画に描かれた官能的なモデルのように、2009年は最初から華やかなドレープで飾られていた。濃厚で華やかで官能的であることは否定できないとの所見で、疑う余地なく多くの賞賛を送る批評家もいたが、賞賛を送りながらも2009年の浮かれたフルーツの祭典に眉をひそめる者もいた。その後2010年がやってくる。こちらも偉大なヴィンテージとなるのだが、内向きで先が予測しにくいストラクチャーにもかかわらず、専門家の間ではすぐに、どちらがより優れたヴィンテージか、と評価が対立した。

瓶内熟成を経た今となっては、どちらの年も膨大な量のトップ品質のワインを生産していることをかんがみても、2009年と2010年が2つの素晴らしいヴィンテージであるのは紛れもない事実だ。しかし、最終的には2010年の勝利を時が証明するだろう、と主張する専門家もいる。個人的には、ちょっとした知識はかえって危険なものだという格言は言うまでもなく、ストラクチャーがしっかりすればしっかりしたワインになる、というような大雑把な一般論には僅かな真実しかないが、好みのスタイルのファサードとしての役目は果たせると思う。変化する様相を呈するまでに何年もかかるワインは、ボトリング後すぐに良いところを見せるワインより優れているというわけではない。誤解しないで欲しいが、瓶内熟成は、絞りたての果実味溢れる若いワインには存在しない複雑な層を与え、アロマや風味の化合物が他の全ての領域を広げてくれる。しかし、偉大なワインは苦労なしには得られない、という考えは、驚くほど複雑で非凡な表現を可能とする最高の結果をもたらす領域へ導く、無数にある素晴らしい不確定要素をあまりにも単純化しすぎている。

2009年か2010年かという問題から少し離れるが、ワインコレクターにとって真の問題は次のことだろう: ベストな2009ヴィンテージは、いつ最高の結果をもたらす領域に到達するのか?そのパーティーはいつまで続くのか?そして、それを待つ間に、もっと良いことがもたらされるのか?

今年の2月、私はロンドンで開催されたBI Wine(旧Bordeaux Index)の2009ヴィンテージのテイスティングに参加した。10年経たボルドーワインをテイスティングする毎年恒例のもので、そのヴィンテージで評価の高かったものが揃う。ほとんどのワインはこのイベントのためにシャトーから直接調達されたものだ。その翌日、私はガトウィック空港からボルドーへ飛び、ボルドーの専門家、ビル・ブラッチ氏主催のソーテルヌ2009ヴィンテージの試飲会を行った。その翌週は、このヴィンテージが今どの段階にありどこに向かっているのか、リアルな感覚を得るためにいくつかのシャトー訪問も計画した。

2009についてのかなり驚くべき真実は、若い時は素晴らしさも美味しさも一貫していたものが、今日の熟成の状態に関して言うと、一貫性はなく、様々なステージにあるということだ。すでに素晴らしい状態だがもう少し熟成させる価値のあるもの、すでに疲れ始めているもの、そして、「すごい」経験をしたいのであれば、抜栓するにはまだ若すぎるものまである。

もし、ビッグなフルボディで熟してアルコールが高いスタイルのものは熟成が加速して進んでいる、と言えればもちろん簡単なのだが、そんなに単純明快ではない。今日、これだけ歴史があって実力もあるワイン産地で語られない1つのタブーとして、欠陥の発生がある。2009年の場合、その欠陥が重要な要因であったようで、以前注目を集めた人たちが高みから引き摺り下ろされている。品種や生産地区の限定なく、意外と多くのワインが熟成前に酸化しているように見える。いくつかのワインで、ブレタノマイセスの副産物として生成される独特な香りや時折立ち上る揮発酸が、フルーティーさを消し去り田舎っぽさを与えてしまうのは、ブレット嫌いにとって驚くべきことではない。2009年のブレットは、右岸のワインより、カベルネ・ソーヴィニヨン主体の左岸のワインにより影響を与えたようだ。そうは言っても、メドックのカベルネ主体のワインで汚れなく清潔なものは、偉大さという点では右岸のメルロー主体のワインより可能性が高い傾向にある。

しかし、事態を大局的に捉えると、明らかな欠陥がある2009年のワインは稀だった。それでもなぜ、スタイル・ぶどう品種・生産地区の区別無く、全てのワインの熟成が非常に異なる速度で進んでいるのか、ということを、これらのわずかな欠陥がまさに説明しているように思われる。

熟成においてのスタイル、純粋さ、優雅さ、表現力という点でトップに立つのは、ラトゥール、シュヴァル・ブラン、ペトリュス、モンローズ、コス・デストゥルネルそしてオー・ブリオンだ。これらの素晴らしいワイン達(中でも特にシャトー・ラトゥール)は、まるでボトリング時から全く変わっていないかのように見える。今すぐにも味わえる、なんともうっとりしてしまう美味しさだが、この誘惑と戦わなくては!なぜなら、20年後にはあなたの心を圧倒し吹き飛ばすくらい素晴らしくなるからだ。

2009年か2010年かという難問に戻るが、はっきりしているのは2009と2010が非常に異なるスタイルであるということだ。もし、2010ヴィンテージのワインだけがタイムカプセルに長い間入れられ、あなたの子供や孫たちに発見されるまで何年も忘れ去られていたとしたら、2009ヴィンテージの中で最も熟成スピードの遅いワインですら、最初から、そしてその後もずっとゴージャスと言われることだろう。この素晴らしい二つのヴィンテージの両方を好きになって、それぞれのスタイルを楽しんで欲しい。

さて、あなたのセラーの2009ヴィンテージだが、どのくらいすぐに飲めるのだろう?いくつかのワインは既にその状態にある。それ以外のワインについてだが、もしあなたが、力強くて果実味に富み、タンニンが豊富で酸は柔らかで滑らか、そんなタイプを愛する方なら今が飲み頃なのでは?具体的には、このレポートのために最近試飲した全てのワインについて、予想される最適な飲み頃をデータベースにアップデートしてある。是非楽しんで欲しい!

2019年04月08日

オスピス・ド・ボーヌ:理想的なヴィンテージで売上記録更新

オスピス・ド・ボーヌ:理想的なヴィンテージで売上記録更新 (2018年11月19日)

第158回オスピス・ド・ボーヌ・オークションの売上は1419万9250ユーロに達し、過去最高を記録した。

バタール・モンラッシェ (BATARD-MONTRACHET GRAND CRU ) の1樽が13万5000ユーロで落札され、ワイン1樽の最高落札額を更新した。

今年の「ピエス・デ・プレジダン(売上金は毎年慈善団体に寄付される)」は、ANIMA VINUM社(ブラジル)およびアルベリック・ビショー氏とその顧客(カナダ人)によって23万ユーロで落札された。

赤ワイン631樽と白ワイン197樽の合計落札額が1395万1,000ユーロ
ピエス・デ・プレジダンが23万ユーロ
赤ワイン1樽の平均落札額:1万5,486ユーロ
白ワイン1樽の平均落札額:2万1212ユーロ

1樽当たりの平均落札額は1万6850ユーロで、対前年19%のアップとなった。(2017年:1万4161ユーロ、2016年:1万3041ユーロ)


オスピス・ド・ボーヌ、そして醸造責任者Ludivine Griveau氏の手腕により、今年のオークションにはピエス・デ・プレジダン2樽を含む828もの樽が出品された(2017年は787樽)。7時間に及ぶオークションを終え、オスピス・ド・ボーヌと主催者クリスティーズは、記録的な大量出品にもかかわらず売上は1420万ユーロ、過去最高額に達したと発表した。
 
オスピス・ド・ボーヌのディレクター、François Poher氏は「1918年11月10日、平和の歓喜に包まれる中、質にも量にも恵まれた収穫だったことも手伝い、オスピス・ド・ボーヌ・オークションは記録を更新した。それから1世紀後、オークションはまた過去最高を記録した。」と話す。「ボーヌ市立病院のスタッフは、現在も日々最高の医療サービスを目指したゆまぬ努力を重ねている。このような社会的大義に尽くすスタッフらの忠誠のもと、オスピスの慈善オークションは5世紀以上にわたり運営されている。競売で得られた収益は、患者へのサービス充実や施設の維持に使われている。」
 
ドメーヌ・デ・オスピス・ド・ボーヌの醸造責任者Ludivine Griveau氏は「今年の素晴らしい結果を大変嬉しく思っている。繰り返すが、2018年が質・量ともに素晴らしいことはこの出品された828樽が明らかにしている。素晴らしいワインを届けるヴィンテージになると確信しており、私からの指示を真剣に受け止めてくれた23名のチームメンバー、そして一年にわたり私をサポートし続けてくれたオスピス・ド・ボーヌの経営陣には心から感謝している。」と話した。
 
クリスティーズは2005年からオスピス・ド・ボーヌのワインの試飲会を世界の主要都市で定期的に行っており、アメリカやヨーロッパ、2010年からはアジアにまでオスピスワインの販促活動を広めている。
クリスティーズとオスピス・ド・ボーヌはチームを組み、シンガーポールからロンドン、上海からロサンゼルスへと世界中をまわり、25のイベントを行った。
オークションのスペシャリスト、Agathe de Saint Céran氏とマスター・オブ・ワインでクリスティーズのコンサルタントを務めるJasper Morris氏は、「2018年のオスピス・ド・ボーヌ・オークションは、このチャリティー・オークション史上最高のパフォーマンスを記録し、全ての面で我々の期待を上回ってくれた。Ludivine Griveau氏とのコラボレーションは実を結び、今年もまた赤・白共に素晴らしいヴィンテージの誕生を目の当たりにすることが出来た。これらのワインは、このチャリティー・オークションに参加するため世界中から集まった愛好家やプロフェッショナルからとても高く評価された。69%の樽はネゴシアンに落札され、残り31%はヨーロッパ(38.3%)、アジア(55%)、アメリカ(6.7%)からの愛好家が競り落とした。」と話した。*()内は金額ベース。

ピエス・デ・プレジダン:23万ユーロ
オスピス・ド・ボーヌは1978年から毎年、慈善団体への寄付を目的にしたピエス・デ・プレジダンをオークションにかけ、その売上で1つ、もしくは複数の慈善事業をサポートしている。1945ヴィンテージから一人もしくは複数の有名人がオークションの司会を努めており、今年はパスツール研究所、BAB、Asmaeの3つの団体のため、女優のナタリー・バイ、小説家のエリック・オルセナ、女優のエマニュエル・ベアール、俳優のパスカル・エルベが采配を振るった。今年のピエス・デ・プレジダンは2樽で、コルトン・クロ・デュ・ロワ(Corton Grand-Cru – Clos du Roi)とムルソー・ジュヌヴリエール(Meursault Premier Cru Les Genevrières)それぞれ1樽づつ。ANIMA VINUM社およびアルベリック・ビショー氏とそのカナダの顧客が共同で、23万ユーロで落札した。

2018年11月26日

2018年フランスのワイン生産量予測

Agreste Conjoncture  Viticulture4/4 Novembre 2018 No.2018-166
2018年のワイン生産量は4,660万hlの見通し

11月1日時点のフランス農水省統計局(SSP)の予測によると、2018年のフランスのワイン生産量は4,660万hlに達し、2017年と比べ26%増、過去5年間の平均に対しても6%増が見込まれている。収穫は全ての地域で終了している。ほぼ全ての地域で天候に恵まれた収穫となった。


2018年11月1日に発表された予測によると、2018年のフランスのワイン生産量は4,660万hlに達する見通し。霜や乾燥が深刻な影響を与えた2017年と比べ26%の増加、過去5年間の平均に対しても6%の増加が見込まれている。

「AOPワイン」・「蒸留酒向けワイン」・「IGPワイン」・「その他(地理的表示のないワインを含む)」のカテゴリー別で見てみると、生産量は全てのカテゴリーで前年に対し増加、「その他(地理的表示のないワインを含む)」以外のカテゴリーでは、過去5年間の平均に対しても同等、もしくは増加の見込み。「その他(地理的表示のないワインを含む)」のカテゴリーだけは、過去5年間の平均に対し7%の減少となっている。
カテゴリー別生産量予測 / AOPワイン:対前年29%増の2,274万hl(過去5年平均に対し12%増)、蒸留酒向けワイン:対前年24%増の845万hl(同5%増)、IGPワイン:対前年20%増の1,229万hl(同+-0%)、その他(地理的表示のないワインを含む):対前年43%増の304万hl(同7%減)。

半数以上の地域で9月末には収穫が終わり、ブルゴーニュ、ボージョレ、シャンパーニュ、アルザスでは特に早い収穫となった。ロワール、シャラント、ボルドー、南西地方でも10月には終了した。乾燥した素晴らしい天候のもと、至るところで健康なぶどうが最適な熟度で収穫できた(コルシカ島は例外)。アペラシオンで規制されている最大収穫量に達した畑もあり、ストックを確保できた。

夏の猛暑でヴェレゾンは遅れ、いくつか産地で水分ストレスが高まった。続く日照りや乾燥で局地的に生産量に影響が出るようだが、フランス全体で見ると大した影響は無いようだ。夏が始まった時に畑が蓄えていた水分が、過去30年間の平均量を上回っていたからだ。

2018年の春から、大西洋や地中海沿岸のワイン産地でベト病が猛威を振るった。 地中海沿岸部が特にひどく、潜在収穫量の一部を失った。繰り返す雨や嵐、そして高い気温が病気を蔓延させたが、夏の中盤に猛暑となり勢力は弱まった。ぶどうの被害は夏の初めから見られていたが、収量減がそれほどでもないとの判断が出たのはヴェレゾンが終わってからだ。ベト病発生の前、南西地方、南東部、コルシカ島で多少の花ぶるいが起きたものの、果実の形成の始まりとなる開花・結実は多くの産地で問題なかったからだ。


各地の状況: ( )内の数字は「2018年予想収穫量」・「対前年増減率」・「過去5年平均に対する増減率」

シャンパーニュ(338万hl、+51%、+35%)
収穫は9月末に、素晴らしい天候のもと終了した。生産量は昨年そして過去5年平均を大きく上回る見込みだ。収穫量規制をオーバーするとの予測を考慮し、収穫されないぶどうもあった。

ブルゴーニュ・ボ-ジョレ(267万hl、+21%、+20%)
収穫は9月に終了。最終的には乾燥の影響で収穫量が減少することはなかった。気象や衛生面で問題の少ない一年だった。生産量は昨年を上回る見込み。ある程度の量がストックへまわるだろう。

アルザス(117万hl、+28%、+13%)
収穫は早い時期に、恵まれた天候のもと行われた。日照りや乾燥による被害は局地的でしかなかったが、若いぶどう樹が影響を受けた。生産量は霜の被害を受けた昨年を大きく上回り、過去5年平均も上回る見込み。

サヴォワ(12万hl、+26%、+14%) ジュラ(11万hl、+154%、+66%)
サヴォワでは9月末に収穫が終了。ジュラではアペラシオンで規制されている最大収穫量に達する見込み。生産量は収穫がかなり少なかった2017年を大幅に上回る見込だ。

ロワール(306万hl、+38%、+22%)
夏の終わりに雨が降ってくれたおかげで、ぶどうは収穫の直前に成熟した。収穫は10月中旬に終了した。生産量は前回の予想から上方修正された。ある程度の量がストックへまわるだろう。ベト病の影響で局地的に収穫を失ったところがあるものの、生産量は過去5年平均をも上回る見通し。

シャラント(855万hl、+24%、+5%)
最初の収穫は雹の被害にあった区画からで、収量は少なかった。収穫が全て終了した時点で、平均収穫量が上方修正された。雹や夏の間の病害の影響はあったものの、収穫量は最終的に過去5年平均を上回る見通し。

ボルドー(539万hl、+46%、+5%) 南西地方(366万hl、+23%、+10%)
ボルドーでは11月1日現在、甘口白ワイン用以外の収穫は全て終了している。恵まれた天候の下での収穫だった。収穫量はかなりバラつきがある。ベト病で、生産量は平均10%の減少となった。しかし霜の被害が大きかった2017年と比べると、収穫量は大幅に上回るだろう。南西地方では、非常に恵まれた天候のもと収穫が行われた。ボトリティスが繁殖していなかったのは驚くべきことだ。ベト病や乾燥で局地的に収穫に影響が出たものの、生産量は非常に少なかった昨年、そして過去5年平均ともに上回る見通し。    

ラングドック・ルーシヨン(1,260万hl、+21%、+-0%)
収穫は9月末、素晴らしい天候の中で終了した。ぶどうは最適な熟度で収穫された。ベト病の被害は地区によってバラつきがあり一様ではない。雹やベト病の被害を免れたところでは予測を上回る収穫量だ。収穫が減少した2017年に続く今年の生産量は、過去5年平均と同等レベルとなる見込みだ。

南東部(476万hl、+12%、-10%)
収穫は9月末に終了した。ほとんどの県で恵まれた天候の中での収穫だった。しかし生産量は、ヴァール県やヴォクリューズ県で被害が大きかったベト病による損失の影響で、過去5年平均を下回る見通し。

コルシカ島(31万hl、+10%、-5%)
収穫に時に雨が続いたため、腐敗果の選別や、収穫の断念を余儀なくされた。生産量は過去5年平均を下回る見通し。

2018年11月20日

2000・2001ヴィンテージのブルゴーニュの赤ワインは今?

France, Burgundy: 2000 & 2001 Red Burgundies - How About Now?
William Kelley
『ワインアドヴォケイト』235号(Feb ‘18)より

まもなく20年となる2000・2001ヴィンテージのブルゴーニュの赤ワインは、今どうだろう?どちらも“生産者”のヴィンテージと呼ばれ、厳しい条件で彼らの気概が試された年だった。そして、ブルゴーニュの素晴らしいヴィンテージ、1999年と2002年に挟まれるという不運にも見舞われた。2000年・2001年はどちらも腐敗との戦いで、生産者は皆熟したぶどうを造ろうと悪戦苦闘した。だが似ているのはそこまでで、造られたワインのスタイルは全く違う。

これらのヴィンテージを振り返ると、ブルゴーニュがどこまで進んだか、ということに気付かされる。この記事に出てくるワインの多くが、ヘビートーストされた新樽の特徴が前面に出て、抽出も激しかった。多くは既に第三アロマやフレーヴァーが支配的で、果実は今その痕跡をとどめるにすぎない。偉大なワインをつくることは目的地ではなく旅路であり(結果ではなく過程であり)、より良いものを目指すことには終りはない。だが1990年代から2000年代はじめにかけて進歩を続けていた多くの醸造・栽培技術は、現在は完成に至っており、もしもこの二つのヴィンテージが今造られるとしたら、もっと良いワインができる、と私は確信している。

ヴィンテージ2000:
2000年は雨が多く、湿った生育期だった。腐敗が猛威を振るい、コート・ド・ボーヌ地区では収穫の10%~40%が被害にあった、という推計もある。8月は暖かく晴れ間もありこのヴィンテージを救うこととなったが、収穫自体は雨の中で行われた。コート・ド・ボーヌ地区では滝のような雨に見舞われたが、コート・ド・ニュイ地区ではそこまで激しくはなかった。傾向としてぶどう樹は多くの実を付け、房は大きく、果皮は薄かったため、収量を制限しなかったところではしっかり熟したぶどうが造れず、セラーで補糖をすることになった。酸は平均より低めで、腐敗した実はしっかり取り除かなければならなかった。

今日、2000年のブルゴーニュの赤ワインはほとんどが完全に熟成しており、あまり成功しなかったものの一部ではピークを過ぎつつある。北部のコート・ド・ニュイ地区が最も成功しているが、品質の指標はアペラシオンより生産者だと言える。1999年、2001年そして2002年の最高のワインのような深みや複雑さは持ち合わせていないが、2000年のトップワインは、しなやかで受け入れやすくチャーミングだ。最近、ジスレーヌ・バルト、デュジャック、アルマン・ルソー、シャンドン・ド・ブリアイユ、デュガ・ピィ等のワインを楽しむ機会に恵まれたが、2000年ヴィンテージは紛れもなく熟成のピークとして飲む価値のあるものだ(1999年や2002年の最高のものは、まだピークに達していない)。2000年は見極めや選択が必要なヴィンテージではあるが、注意深く探せば、飲み頃の近い素敵なワインにまだ沢山出会えるだろう。

ヴィンテージ2001:
結実が短期間で終わった2000年に対し、2001年は開花が以上に長引き、同じ畑の中でも全てが開花し終わるまでに数週間もかかった。そのため、実が均一に成熟する見込みも、いつものことだがかなり低くなった。暖かく湿った春は病害のリスクをもたらし、夏は晴れ間が少なく涼しく、雨も頻繁に降った。ヴォルネイ、ポマール、モンテリーは、8月2日の雹で大打撃を受けた。丘陵地帯全体で、ぶどうの皮は2000年より厚く、生理学的に成熟するのは簡単ではなかった。この年もまた、収量を抑えることと(ぶどうの)厳しい選別が、成功には不可欠となった。酸は平均より高かったため、マロラクティック発酵が終わってやっと落ち着いた。

しなやかで受け入れやすい2000年と比べ、2001年のブルゴーニュの赤ワインは明らかに堅固で、酸がより前面に出て、色調も濃く、骨格はチョーキーなタンニンに支えられている。ベストなワインはやっと飲み頃に入ったばかりで、まだそこまで達していないワインもある。繰り返しになるが、2001年は“生産者”のヴィンテージと言われるが、このヴィンテージの全ての可能性を引き出せた生産者は、凝縮し骨格のしっかりした、素晴らしい熟成ポテンシャルを秘めたワインを造った。先日、ロベール・シュヴィヨン、ミュニュレ・ジブール、クロード・デュガ、ドルーアンそしてルーミエの素晴らしい2001ヴィンテージを楽しんだ。いくつかは、まだ後10年以上ポジティブな展開が期待できることが明らかだった。もちろん、成功できなかった生産者のワインは、薄く痩せて、熟成由来のキャラクターが前面に出ており、そういうものも多かった。しかし、概括すると、2001ヴィンテージは2000ヴィンテージよりチャーミングではないとしても、ベストな状態であればよりシリアスなワインで、量的には2000年を上回っている。

この記事に出てくるコメントの多くは、Sarah Marshマスターオブワインが企画しロンドンで行われた、ブルゴーニュ赤ワイン2000&2001ヴィンテージの試飲会の時のものだ。そこで試飲した蔵出し35銘柄の私のメモに、それ以外で最近試飲した同ヴィンテージのワインのコメントを補完した。ポンソのシャンベルタンやクロ・ド・ラ・ロッシュ、ルソーのクロ・サン・ジャック、ドルーアンのミュジニー、クロード・デュガのジュヴレ・シャンベルタン・プルミエ・クリュ等、抵抗し難い2001ヴィンテージの最近のコメントを載せた私のバックナンバー、“Up From the Cellar 26” をもう一度読んでみようと思う読者もいるかもしれない。ベルナール・デュガ・ピィのマジ・シャンベルタン2000の最新のコメントもご覧あれ。

2018年05月01日

ボルドーワイン:春の霜で奪われた2017ヴィンテージ

2018年2月7日 La Revue du vin de France のWebサイト より

昨年春の度重なる霜の影響で、ボルドーでは2017ヴィンテージを生産できないシャトーもある。

「難しいね、通常の売上の90%の損失だから。」バルザックのシャトー・クリマンのテクニカルディレクター、フレデリック・ニヴェル氏は、空のセラーを眺めながら嘆く。4月の霜で大打撃を受けたソーテルヌの名高いシャトーは、2017ヴィンテージを諦めることとなる。
前回シャトー・クリマンを発売できなかったのは1993年、それ以降は発売できなかった年はなかった。「(2017を諦める)理由は二つある。質と量だ。まずまずのロットが9つあるが、クリマンをつくるには不十分だ。ポテンシャルは高かったのに、残念だ。」

生産者5人に1人は70%以上の収穫減

収量は20hl/haから僅か2hl/haへと減少し、現在セラーにあるのは約30樽 (9000本) のワイン。解決策は、と聞くと「在庫を持つことと、後ろからついてくる銀行家」と言う。「でも、こんなことが2年も3年も続くのは絶対ダメだ。」
昨年春の霜は、ボルドーの全てのアペラシオンに被害を与えた。ジロンド農業会議所によると生産者5人に1人が70%以上の収穫減ということだが、立地条件が良かったり、霜から保護できたりと、畑によっては全く影響がなかったところもある。
ソーテルヌ周辺では、シャトー・クリマンのように標高の低い区画の被害が大きかった。
しかし標高の高い畑は霜の被害を免れ、イケムやリューセック等は窮地を逃れた。逃れただけではない。ソーテルヌ・バルザックの保護団体(ODG)の代表、グザヴィエ・プランティ氏によると「ボトリティスの発達が見事で、素晴らしいヴィンテージ」との予測だ。

霜保険?

他の多くのシャトー同様、クリマンでも霜による損害をカバーする保険には入っていなかった。1991年以降ボルドーは霜害に見舞われておらず、稀にしか起こらない災害の備えにしては高すぎるからだ。ごく稀に保険をかけているシャトーもあるが、収支は合わないようだ。保険をかけていたシャトー・ギローでは、40%収穫を失ったにもかかわらず、保険金は受け取っていない。なぜかというと、保険の支払いは平均収量に基づいて計算されるので、ソーテルヌの甘口ワインの収量はそれに達しないからだ、と、シャトー・ギローのオーナーの一人でもあるグザヴィエ・プランティ氏は説明する。
ソーテルヌ・バルザックのアペラシオンでは、平均で収穫の50%を失った。有名で、広大な畑を持つシャトーは、他よりはこの事態を上手く切り抜けられている。それは「銀行が後ろからついてくる」からだ、と話すのは、あるビオの生産者。しかし、ソーテルヌで50ha以上の畑を有するのは、173のシャトーのうち10にも満たないのが現状だ。
被災したワイン生産者救済団体“SOS Vignerons sinistrés”の調査によると、2018シーズンの資金調達が出来ない恐れがあるぶどう園は、ジロンド県で300から400になるという。その大半は、ほぼ無いに等しい2017年の僅かな収穫を、今後数ヶ月の間にバルクで売りに出さなければならなくなるかもしれない。

銀行の貸し剥がし

「年が明けると1月3日から、銀行は資金の回収を始めている。短期貸付の返済を期限到来前に迫る書留が送られている。」 救済団体の代表、フローレンス・カルドソ氏は「どうしたら良いかわからず、皆が途方にくれている」と話す。
不吉な予兆もある。いくつかの区画では冬の剪定が行われておらず、オーナーが (定年が近く跡継ぎがいない場合は特に) ワイナリーを放棄してしまうのではないか、と懸念する生産者達も多い。
続けられないことを既に悟っている人もいる。「会社更生の手続き中だったが、今回の霜で全てが終わってしまった。価格は上がったが、この状態を切り抜けられるほどじゃない。倍にでもなったら助かったのに!」40代の男は、匿名でこう打ち明ける。「収穫の60~65%を失った。今の状況から抜け出すには全部必要だったが、これじゃ足りないだろう。」

2018年02月16日

2017年収穫量予測(フランス)

Agreste Conjoncture  Viticulture3/4 Octobre 2017 No.2017-147
10月1日時点の2017年の収穫量の予測は、過去5年間の平均に対し18%の減少。

2017年10月1日、大半の畑で収穫が終わっている中フランス農水省統計局(SSP)が発表した収穫量予測によると、2017年の収穫量は3,690万hlと予想され、2016年より19%減、過去5年間の平均に対しても18%減が見込まれる。南西部(特にボルドー地方)、シャラント、ジュラ、アルザス等の地域では春の霜が被害をもたらし、南東部、ラングドック、コルシカ島、ボージョレ地域では乾燥が猛威をふるった。その為、これらの地域、及びフランス全体の収穫量予測は下方修正された。ボルドー及びシャラント地方では、最後に天候に恵まれたおかげで収穫量の予測が上方修正されたが、2016年や過去5年間の平均と比べると依然低い水準だ。

フランス農水省統計局(SSP)が発表した10月1日時点の今年第三回目の収穫量予測によると、 2017年の収穫量は、3,690万hlと予想され、2016年より19%減、過去5年平均に対しても18%減が見込まれる。これは記録的な減少であり、春の霜で影響を受けた1991年を上回る減少である。
収穫量減少の一番の原因は春の厳しい寒さで、発芽したばかりの芽が霜害を被った。被害の程度は様々だが、ほぼ全てのワイン産地が被害を受けた。最も被害が大きかったのは、南西部(特にボルドー地方)、シャラント、アルザス、ジュラ等の地域。 霜の害を被った区画では、2番芽(contre-bourgeons)が成長し損失を一部埋め合わせることが出来たところもあった(特にロワールやボルドー)
 ブルゴーニュ・ボ-ジョレ、南西地方、ラングドック、南東部では、雹による被害で生産量が減少。地中海沿岸地域では花ぶるいが目立った。特にグルナッシュに多かった。
 前回の予測(8/21、3,720万hl )以降、南東部、コルシカ、ラングドック、ボージョレでは乾燥が続いた。これに暑さと風が重なりぶどうが乾燥(脱水)したため、これらの地域、ひいてはフランス全体の予測収穫量が下方修正された。その反対に、いくつかの沿岸地方(特にボルドー、シャラント)では、タイミングよく降った雨がぶどうの成長を助け、生産量が上方修正されている。
 湿った地域(シャンパーニュ、シャラント、ボルドー、アルザス)では腐敗が始まったので、収穫時期を繰り上げた。
 10月1日時点で、大半のワイン産地で例年より早い収穫が終わっており、最も収穫の遅い地域(特にシャラント)でも収穫は始まっている。

《 「AOPワイン」「蒸留酒向け」「IGPワイン」「その他(地理的表示のないワインを含む)」 》のカテゴリー別で見てみると、すべてのカテゴリーにおいて収穫量予測は2016年と比べて減少している。特に「その他(地理的表示のないワインを含む)」が影響を受けている。カテゴリー別の収穫量予測は、AOPワインが対前年19%減の1,701万hl(過去5年平均に対し17%減)、蒸留酒向けのワインが対前年12%減の681万hl(同17%減)、IGPが対前年17%減の1,067万hl(同16%減)、その他(地理的表示のないワインを含む)が対前年39%減の242万hl(同32%減)と予想される。

各地の状況: ( )内の数字は「2017年予想収穫量」「対前年増減率(%)」「過去5年平均に対する増減率(%)」

シャンパーニュ(194万hl、-6%、-21%)
8月の終わりから雨が続きシャルドネに腐敗が広がった。そのため収穫時に腐敗果を選別しなければならず、前回の予想収穫量を下方修正することとなった。夏の嵐は損害を与えたが、春の霜の被害は2016ほど酷くはないようだ。生産量は昨年を下回る(-6%)。

ブルゴーニュ・ボ-ジョレ(215万hl、 +4%、0%)
ボ-ジョレは乾燥した天候が続き、予想収穫量は再び下方修正された。4月末ブルゴーニュは霜に見舞われ、特にシャブリやクリュニー近郊で被害を被ったが、ボージョレでは被害がなかった。収穫は9月に終わった。かなりばらつきはあるもの、ブルゴーニュでの収穫が増加した為、地域全体の収穫量は対前年+4%と微増の予測。

アルザス(86万hl、+30%、+21%)
大規模生産者の収穫は終了している。春の霜の影響で、生産量は昨年を大きく下回る(-30%)。畑の衛生状態は収穫最後には悪化した。

サヴォワ(10万hl、-9%、-1%) ジュラ(3万hl、-61%、-52%)
ジュラでは霜の被害がひどく、生産量は大きく減少。サヴォワでは、収穫量は品種、区画によってとてもばらついている。

ロワール(228万hl、+8%、-7%)
現在収穫真っ最中のロワールだが、生産量はばらつきがある。収穫量が少なかった2011年に対し、+ 8 %と上回る予測だ。

シャラント(691万hl、-12%、-17%)
ブドウの成長期にタイミングよく雨が降り、同時に霜害を逃れたぶどうの収量の限度を引き上げる決定がされたため、前回の予想が上方修正された。4月の霜の影響が大きく、収穫量は対前年12%のマイナスと予想される。

ボルドー(372万hl、+45%、+33%) 南西地方(326万hl、-20%、-4%)
ボルドーでは例年より2週間早く収穫が始まり、9月末にはほぼ終了している。雨と暑さが交互に起こり、
霜の被害にあった畑の2番芽(contre-bourgeons)からのものもも含め、ぶどうは完全に成熟するに至った。生産量は前回予測から上方修正されたものの、豊作だった2016年に対し-45%、直近5年間の平均に対し-33%と、依然として低い水準だ。
南西地方では、ボトリティス菌による影響が懸念され、収穫が早まり9月末には終了した。4月末の霜と8月初めの雹の影響で、収穫量は対前年-20%と予測されている。

ラングドック・ルーシヨン(1,035万hl、-16%、-20%)
大半の畑で収穫は例年より早く終了した。暑く乾燥し風の強い天候が収穫まで続いたため、果汁の収量が減り、前回の生産量予測が下方修正された。オーブ県、エロー県では春の霜、ガール県では花ぶるいの影響が大きかった。地方全体の生産量は昨年を16%下回る予測だ。

南東部(450万hl、-22%、-17%) コルシカ(27万hl、-23%、-20%)
南東部では、例年より10日ほど早く収穫が終了した。乾燥、暑さ、強風が続いた影響で、前回の生産量予測は下方修正された。4月の霜や花ぶるいでグルナッシュは既に生産減が予測されており、全体でも昨年より34%減少の予測。

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2017年10月02日