2022年のワイン生産量4,540万hlとの見通し

Agreste Conjoncture  Viticulture4/4 Novembre 2022 - n°2022-141
2022年のワイン生産量4,540万hlとの見通し

フランス農業食糧省の政策実施機関であるフランスアグリメールの情報を、統計機関(SSP)が11月1日に発表した最終予測によると、2022年のフランスのワイン生産量は約4,540万hlに達し、2017年から2021年の平均と比べ6%の増加となる見込み。この増加は、特にシャンパーニュ、ブルゴーニュ、ジュラ、地中海沿岸地域、そしてシャラントでの増加によるものとみられている。

2022年のワイン生産量は過去5年平均を上回る
2022年11月1日に発表の最終予測によると、2022年のワイン生産量は4,540万hlに達する見通し。

春の遅霜による影響で2021年の収穫は落ち込んだが、今年の生産量は増加に転じ、2017年から2021年の平均を6%上回るようだ。昨年との比較では、蒸留酒向けワインを除くすべてのカテゴリーで増加の見通し。

2003年と同じく、収穫はすべてのワイン産地で例年より早く終了した。

今年霜や雹の影響を受けたのは、主に南西地方、シャラント、ロワール等の産地だ。

春からの雨不足と夏の猛暑のため、多くの産地で生産ポテンシャルが低下し、特に南西地方やアルザスで影響が大きかった。しかし、シャラント、シャンパーニュ、ブルゴーニュそしてラングドック等の産地では持ちこたえることができた。夏の終わりの降雨は、シャラントやラングドック・ルーションで生産量を増加させるプラスの結果をもたらした。

カテゴリー別生産量予測: 蒸留酒向けワインは減少
「AOPワイン」・「蒸留酒向けワイン」・「IGPワイン」・「その他(地理的表示のないワインを含む)」のカテゴリー別で見てみると、生産量は「蒸留酒向けワイン」を除いた全てのカテゴリーで前年に対し増加している。過去5年間の平均に対しては「その他(地理的表示のないワインを含む)」のみが減少、「AOPワイン」・「蒸留酒向けワイン」・「IGPワイン」では増加となる見込み。
AOPワイン:対前年25%増の1,998.3万hl(過去5年平均に対し6%増)、蒸留酒向けワイン:対前年2%減の930.7万hl(同4%増)、IGPワイン:対前年30%増の1,315.8万hl(同12%増)、その他(地理的表示のないワインを含む):対前年36%増の293万hl(同3%減)。

大半の産地で生産量が増加
各地の状況: ( )内の数字は「2022年予想収穫量」・「対前年増減率」・「過去5年平均に対する増減率」

シャンパーニュ(313.6万hl、+99%、+35%)
シャンパーニュでは、過去10年平均と比べ12日ほど早く収穫が終了した。夏前の雨で土壌が潤い、暑く病気が発生しないという、最適な条件に恵まれた年だった。生産量は、2017年から2021年の平均を上回る見込み。

ブルゴーニュ・ボ-ジョレ(255.4万hl、+61%、+16%)
ブルゴーニュでは収穫量が過去5年平均を大きく上回る見通し。ぶどうの良好な健康状態が保たれたからだ。ボージョレでは開花が順調だったため、当初は生産ポテンシャルが高いとの見込みだったが、その後の干ばつと雹でポテンシャルは下がった。終盤に雨が降ったが恵みの雨とはならず、ボージョレの生産量は過去5年平均を下回りそうだ。

アルザス(90.7万hl、+11%、-11%)
アルザスでは夏の終りに降雨があったが、春から続いた干ばつでの収量不足を補うまでには至らなかった。生産量は過去5年平均を下回ったままとなる見通し。

サヴォワ(10.4万hl、+32%、-2%)
サヴォワでも生育期終盤に降雨はあったが、干ばつの影響を補うことはできなかった。生産量は過去5年平均以下となりそうだ。

ジュラ(11.7万hl、+249%、+63%)
ジュラの生産量は、過去5年平均も、霜で大打撃を受けた前年も、どちらも上回る見込み。

ロワール(242.8万hl、+33%、-3%)
収穫は9月末に終了した。干ばつで生産量は減少、シャルドネが最も影響を受けた。生産量は、歴史的な少なさだった2021年は超えるものの、過去5年平均には届かない見通し。

シャラント(956.5万hl、-1%、+6%)
シャラントでは、夏の終わりの降雨のおかげで収穫量は増加した。収穫は15日早く始まり、9月末まで続いた。霜や雹の影響を受けた畑だが、干ばつには耐えることができた。生産量は、前回の予測よりは増加したものの対前年ではマイナス、過去5年平均は上回るとの予測だ。

ボルドー(450.4万hl、+9%、-5%)
ボルドーの収穫は9月末に終了した。4月の霜、6月の雹、そして干ばつが畑に影響を及ぼした。生産量は過去5年平均には届かないと見ている。

南西地方(261.2万hl、-8%、-21%)
収穫は例年より早く終了した。ほとんどの県で9月まで干ばつが続き、生産量は更に減少の見込み。特にジェール県で収穫が落ち込むとの見通し。収穫量は大きく落ち込んだ前年をさらに下回るとみられ、過去5年平均をも下回っている。

ラングドック・ルーション(1318.3万hl、+36%、+15%)
夏の終わりの降雨や、昨年のような霜の影響がなかったことが幸いし、収穫量は前回の予測より上方修正された。産地全体での収穫量は、対前年および過去5年平均どちらも上回る見通し。

南東部(526.1万hl、+10%、+6%)
南東部で最も干ばつの被害が大きかったのがヴォークリューズ県で、それ以外の県での収量は過去5年平均を超える見込みだ。ブドウの良好な健康状態は収穫時まで保たれた。

コルシカ島(34.3万hl、+8%、+8%)
夏の終わりの降雨のおかげで、当初の予測を上回る収量となった。

2022年11月21日