ブルゴーニュ2013ヴィンテージ、10年を経て。

ブルゴーニュ2013ヴィンテージ、10年を経て。
ニール・マーティン 2023年10月17日 (VINOUS)

私は毎年バレルテイスティングでコートドールを縦横する際に、バックヴィンテージを再テイスティングするのが好きだ。 昨年、2013年の白か赤を抜栓できるか生産者達に尋ねてみた。10年の節目を迎えるボトルを開けることが多いからだ。 これは決してヴィンテージの包括的な概要ではないが、さまざまなワインがどのように進化しているのか、今開ける価値のあるヴィンテージなのか、それともまだ涼しく湿ったセラーに保管しておくのが最適なのかを知るための、リトマス試験紙的役割は果たしてくれるだろう。

2013 年のぶどうの生育期は非常に困難が多かった。 まず開花が遅く不規則で混乱したため、5 月末時点で成長サイクルが 2 週間以上遅れていた。それは多くの意味で悪名高き2021年のシーズンの先触れであり、絶え間なく降る雨で、殺菌剤を散布するための雨の降っていない時期を確保するのが極めて困難だった。 そして7 月 23 日は、悪い意味でワイン生産者の心に刻まれることになる。 その日は、雹を伴う嵐がサヴィニー・レ・ボーヌからヴォルネイ間一帯を襲った日だった。7月は暖かかったおかげでぶどう樹の成長は多少遅れを取り戻していたが、この月も散発的に激しい雨に見舞われた。カビは辺り一面に常に潜んでおり、葉だけでなく房も攻撃した。そのため、ぶどう樹を守るために殺菌剤を頻繁に散布する必要があったのだが、この時すでに場所によっては雨で地面が沼地化し始めていた。トラクターの運転は非常に困難になり、当局は必要に応じてヘリコプターによる散布を許可した。しかしこれはほんの一握りの生産者だけが利用できるオプションで、いずれにせよ、ダメージを与える鈍器となり得てしまう。有機もしくはビオディナミ栽培のぶどう樹が化学肥料を使う畑の隣にある場合などは特に、である。 8月は比較的穏やかな日が続き、ありがたいことに多少の休息をもたらしてくれた。多くが10月第1週までぶどう畑に入らなかったため、言わずと知れた非常に遅い収穫となった。1984年以降最も遅い収穫である。問題をさらに悪化させたのは10月5日と6日の大雨で、シーズン終盤に灰色カビが蔓延してしまった。損失を軽減しようと収穫チームはできる限り急いで収穫を進め、可能な限りぶどうの選果を行い、糖度の不足を補うために補糖した。 当然のことながらリリース時の品質には大きなばらつきがあった。明るくフレッシュで親しみやすいワインもあれば、カビや未熟なタンニンの影響が目立ったワインもあった。

2013ヴィンテージの白と赤を合わせて約75種類ほど再テイスティングしたところ、生育期の荒れた天候は、アペラシオンや生産者間のみならず、同じワインにおいても品質のばらつきの原因となっていた。しかし決して無視できるヴィンテージではないのも事実だ。私は2013年を、これも難しいヴィンテージで比較されがちな2008年より多少上にランク付けする。私がしばしば高く評価する優れた生産者達も、2013年にはかなり苦戦していた。10年を経た彼らのワインは現在、進歩なく行き詰っているか、今 飲まれるべきかのどちらかである。ここで私が思い浮かべているのは、マルサネのブリュノ・クレールやモレ・サン・ドニのヴィルジル・リニエ・ミシュロのような生産者たちだ。しかし、私のスコアをよく調べてみると、悪くないと思うものの評価は予想よりも高かった。もし2013ヴィンテージを要約する瞬間があったとすれば、シェ・ブルースのソムリエがドメーヌ・フランソワ・ビュッフェの2013ヴォルネイ・タイユピエ・プルミエクリュのボトルを、マスター・オブ・ワインを含むテイスティング経験豊富な人たちのテーブルで、ブラインドで注いだ時だ。あまりに美味しかったので、それが確かに私の持ち込んだものかどうか再確認するほどだった。赤いベリー系の香りが弾け、タンニンはレースのようで、他ではほとんど真似のできない純粋な果実味だった。ヴィンテージが明かされた時、食事を共にしていた仲間たちは驚いた。誰もビュッフェの名を聞いたこともなかったのだ。(もちろん、私のレポートを読んだら知っていただろうが!) 私が特に感銘を受けたのは、モレ・サン・ドニのドメーヌ・アルローで試飲したワインだ。この生産者のワインは、瓶熟成させるとオフヴォンテージのトレンドに逆行するのだ。一般的には赤ワインより不安定と考えられている白ワインにも、ドメーヌ・デュ・コント・ラフォンのムルソー・ペリエールやブシャール・ペール・エ・フィスのコルトン・シャルルマーニュなど、逸品があった。

結局のところ、ブルゴーニュ2013ヴィンテージは同じ年のボルドーワインより優れている。と言っても気のないほめ方であるが。しかし2013年のボルドーワインが、活気がなく熟していない印象を与えるのに対し、一方2013年のブルゴーニュワインは、正真正銘の偉大なヴィンテージとみなされることはないことを受け入れ、逆風に負けず最善を尽くしているようだ。何よりその年の苦労を忘れさせてくれる明るさ、シンプルな分かりやすさ、喜びと幸福が備わっている。2013年のブルゴーニュは赤ワインにも白ワインにも、予想を上回るものがさらにあるのではないか、と私は思っている。頑張って素晴らしいワインを見つけてほしい。

2023年10月17日