2023年のワイン生産量4,7000万hlとの見通し
agreste INFO RAPIDES Viticulture №04/04 NOVEMBRE 2023 №138
2023年のワイン生産量4,7000万hlとの見通し
フランス農業食糧主権省の政策実施機関であるフランスアグリメールの地方局と連携し地方農業統計局が提供した情報を、SSPが11月1日に発表した予測によると、2023年のフランスのワイン生産量は約4,700万hlとなり、2022年と比べ2%増加、2018年から2022年の平均と比べ6%の増加となる見込み。
収穫が終了した時点で、状況は産地によって際立った違いを見せている。ボルドー、シュッド・ウエスト、シュッド・エスト、ラングドック・ルーションでは収穫量が減少。それ以外の産地では増加しており、特にシャンパーニュ、シャラント、ブルゴーニュでは明るい見通しだ。
2023年のワイン生産量は過去5年平均を上回る
2023年11月1日の発表によると、2023年のフランスのワイン生産量は約4,700万hlとの見通しで、対前年2%増、過去5年平均に対し6%増となる見込み。しかしカテゴリー別の状況は際立った違いを見せている。
カテゴリー別生産量予測:
AOPワインは対前年3%増、蒸留酒向けワインは18%増で過去最高、IGPワインは8%の減少。
「AOPワイン」・「蒸留酒向けワイン」・「IGPワイン」・「その他(地理的表示のないワインを含む)」のカテゴリー別で見てみると、「AOPワイン」・「蒸留酒向けワイン」の生産量は対前年も、過去5年間平均に対してもどちらも増加の見込みだが、「IGPワイン」・「その他(地理的表示のないワインを含む)」はどちらの指標も減少の見通し。
AOPワイン:対前年3%増の2,021.4万hl(過去5年平均に対し5%増)、蒸留酒向けワイン:対前年18%増の1,213.5万hl(同26%増)、IGPワイン:対前年8%減の1,168.8万hl(同5%減)、その他(地理的表示のないワインを含む):対前年8%減の312.9万hl(同4%減)。
各地の状況:
収穫が終了した時点で、多くの地域でワイン生産量の増加が見られたが、ボルドー、ラングドック・ルーション、シュッド・ウエストそしてシュッド・エストでは減少した。
( )内の数字は「2023年予想収穫量」・「対前年増減率」・「過去5年平均に対する増減率」
シャンパーニュ(370.7万hl、+16%、+47%)
ブドウの房は記録更新のレベルの重さだった。ボトリティスに侵されたものを選果して取り除いたにもかかわらず、生産量は対前年16%増、過去5年平均に対しても47%と大きく上回り、リザーヴワインも確保できる見通し。
ブルゴーニュ・ボ-ジョレ(275.7万hl、+12%、+22%)
生産量は記録を更新した2018年に匹敵し、特に白ワインが増加。ボトリティスの被害はなかった。県によってはリザーヴワインを確保できるところもありそうだ。ボージョレでは暑さが続く中最後の収穫が行われた。雷雨や雹に見舞われたものの生産量は良いレベルで、ブルゴーニュとボ-ジョレを合わせた全体の生産量は、前年も過去5年平均もどちらも大幅に上回る見通し。
アルザス(99.9万hl、+5%、-3%)
10月には最も遅い収穫も終了した。うどん粉病に悩まされたものの、生産量は2022年を上回った (+5%)が、2018年から2022年の平均は僅かに下回った(-3%).
サヴォワ(10.9万hl、+1%、+1%) ジュラ(13.5万hl、+35%、+64%)
サヴォワでは収穫は10月に終了し、収穫量は対前年も過去5年平均と比べても同レベルとなった。ジュラの収穫量は前年も過去5年平均も大きく上回る見通しで、過去最高の2018年に匹敵しそうだ。
ロワール(290.6万hl、+17%、+14%)
ボトリティスに侵された房を取り除く収穫時の選果で、生産ポテンシャルは多少減少した。とはいえ2年続いた不作の後なので、生産量は前年を上回り、過去5年平均も上回った。
シャラント(1,234.4万hl、+18%、+27%)
シャラントでは収穫まで天候に恵まれ(シーズン後半の気温上昇、十分な降雨)、大豊作となり(対前年+18%)、過去最高の2020年を上回った。リザーヴワインも確保できる見通し。
シュッド・ウエスト(259.3万hl、-9%、-21%)
べと病、うどん粉病や雹の被害、さらにそれに続いて夏の終わりの干ばつとぶどうの日焼けで、生産量は対前年も、過去5年平均と比べても著しく減少した。被害が最も大きかったはロット県で、収穫量は半減した。
ボルドー(413.0万hl、-7%、-15%)
ボルドーでは赤ワイン用の品種の収穫が終了した。白ワインのボリュームは妥当だが、赤ワインはべと病の広がりで地区によってばらつきがある。ボルドー地方全体の生産量は2022年を7%下回り、2018年から2022年の平均と比較すると15%の減少となる。
ラングドック・ルーション(1,134.6万hl、-10%、-5%)
干ばつの影響で生産量は2022年と比較して10%の減少、過去5年平均と比べても5%下回る。それでも灌漑で干ばつの影響は多少抑えられた。オード県では場所により状況は対照的だ。地中海沿岸では高い収量だが、それ以外の地域で収量は低い。ガール県だけが2022年の生産量を上回り、過去5年平均をも上回った。
コルシカ島(36.3万hl、+11%、+12%)
収穫は例年より遅く終了した。生産量は前年も過去5年平均も大きく上回り、過去10年の最高を記録した。
シュッド・エスト(514.7万hl、-5%、-1%)
猛暑で生産量が落ち込み、対前年では5%減、過去5年平均に近い。べと病や干ばつ、雹などが影響した。