<アメリカ>銀行が見るワイン産業の現状

シリコンバレー銀行の報告書によると、アメリカのワイン販売は依然苦戦している


シリコンバレー銀行は最新のアメリカワイン報告書で、消費者需要の低下と過剰生産に対する懸念が浮き彫りになっているが、プレミアムボトルの販売は金額ベースで増加し続けていると伝えた。
クリス・マーサー decanter.com 2024年1月22日

シリコンバレー銀行(SVB)の2024年「アメリカワイン産業の現状」報告書に掲載された速報値によると、ワインカテゴリーの総売上高は2023年の数量ベースで2~4%減少すると予想されている。

若い消費者がワインを購入しているかどうかを問い、さらにスピリッツとの競争にも焦点を当てている前回の報告書からテーマが引き継がれていた。

「ワインを好みのアルコール飲料と考えるアメリカの消費者は減少している。 代わりに、彼らはカテゴリーの枠を超えてアルコールを飲んでいる。 12ドル未満で生産されたワインの売上げはここ数年減少している。」と報告書は述べている。

また、アルコールを飲まないことを選択する人も増えている、と指摘した。

需要の緩やかな減少に直面して、米国のワイン産業は現在「過剰生産するようになってきている」と警告し、フランスなど他のワイン生産国でも同様の懸念が広がっていると述べた。

報告書の筆者でSVBワイン部門の創設者であるロブ・マクミラン氏は、「将来の(消費者)需要の改善は、新規の消費者や若い消費者を引きつけ、他の飲料や大麻生産者から市場シェアを奪い、人気のないブランドや価格帯での広範な値引きにつながる過剰生産に対抗する業界の能力にかかっているだろう。」と述べた。

プレミアムワインの価値は今もなお上昇
報告書では、1本12ドルを超えるプレミアムワインには引き続き明るい兆しがあり、売上高は2023年の金額ベースで1~4%増加する、と予想している。

「プレミアムワインの価値は依然として成長しているが、2023年に販売された2020ヴィンテージの収穫量が少なめだった影響もあり、2023年の販売量は最終的には減少で終わるだろう。」と同誌は述べた。

「これらのプレミアムワインを生産するワイナリーは、ここ数年で最も質の良い収穫とバランスの取れた在庫ポジションを持って2024年を迎えるため、アメリカの経済状況が軟化した場合でもこのセグメントにある程度の柔軟性を与えることができる。」

ナパバレーのワイン生産者は最近、この地域の 2023 年の収穫を「生涯最高のヴィンテージ」と表現した。

SVBがアメリカの500以上のワイナリーを対象に行った調査では、回答者の約70%が、財務状況は良好、非常に良好、または盤石であると回答した。

ワインの消費者直販(D2C)と価格
同報告書では、ワインの消費者向け直販(D2C)に関する見解の更新も行い、2024年には改善すると予測している。
ボトルの平均価格は上昇し続けているが、ワイナリーのコスト上昇をカバーするには必ずしも十分ではない、と述べている。

分析された主要産地の消費者直販の平均価格は次の通り:
ナパ/ 2023年84.2ドル、 2022年79.4 ドル、 2013年57.7ドル
オレゴン/ 2023年57.7ドル、 2022年47ドル、 2013年32.1ドル
ソノマ/ 2023年50.6ドル、 2022年46.7ドル、 2013年37.6ドル
ワシントン/ 2023年45.2ドル、 2022年34.1ドル、 2013年25.8ドル

この最新の報告書が浮き彫りにしたその他の主要な傾向は、2023年のワイナリーのテイスティングルームへの訪問者数が2年連続で減少する見込みであることだった。

「この傾向は多くの人に懸念をもたらしているが、私はそれほど心配していない。」と報告書の著者マクミラン氏は述べた。

マクミラン氏は、航空旅客数の多さは、新型コロナウイルス後の2023年、人々が“延期されていた”海外(アメリカ以外)での休暇の遅れを取り戻していることを示唆している、と主張。 「人々の旅行が正常化するにつれて、2024 年にはテイスティング ルームへの来訪者数も増えると信じている。」

2024年01月26日