2018年フランスのワイン生産量予測

Agreste Conjoncture  Viticulture4/4 Novembre 2018 No.2018-166
2018年のワイン生産量は4,660万hlの見通し

11月1日時点のフランス農水省統計局(SSP)の予測によると、2018年のフランスのワイン生産量は4,660万hlに達し、2017年と比べ26%増、過去5年間の平均に対しても6%増が見込まれている。収穫は全ての地域で終了している。ほぼ全ての地域で天候に恵まれた収穫となった。


2018年11月1日に発表された予測によると、2018年のフランスのワイン生産量は4,660万hlに達する見通し。霜や乾燥が深刻な影響を与えた2017年と比べ26%の増加、過去5年間の平均に対しても6%の増加が見込まれている。

「AOPワイン」・「蒸留酒向けワイン」・「IGPワイン」・「その他(地理的表示のないワインを含む)」のカテゴリー別で見てみると、生産量は全てのカテゴリーで前年に対し増加、「その他(地理的表示のないワインを含む)」以外のカテゴリーでは、過去5年間の平均に対しても同等、もしくは増加の見込み。「その他(地理的表示のないワインを含む)」のカテゴリーだけは、過去5年間の平均に対し7%の減少となっている。
カテゴリー別生産量予測 / AOPワイン:対前年29%増の2,274万hl(過去5年平均に対し12%増)、蒸留酒向けワイン:対前年24%増の845万hl(同5%増)、IGPワイン:対前年20%増の1,229万hl(同+-0%)、その他(地理的表示のないワインを含む):対前年43%増の304万hl(同7%減)。

半数以上の地域で9月末には収穫が終わり、ブルゴーニュ、ボージョレ、シャンパーニュ、アルザスでは特に早い収穫となった。ロワール、シャラント、ボルドー、南西地方でも10月には終了した。乾燥した素晴らしい天候のもと、至るところで健康なぶどうが最適な熟度で収穫できた(コルシカ島は例外)。アペラシオンで規制されている最大収穫量に達した畑もあり、ストックを確保できた。

夏の猛暑でヴェレゾンは遅れ、いくつか産地で水分ストレスが高まった。続く日照りや乾燥で局地的に生産量に影響が出るようだが、フランス全体で見ると大した影響は無いようだ。夏が始まった時に畑が蓄えていた水分が、過去30年間の平均量を上回っていたからだ。

2018年の春から、大西洋や地中海沿岸のワイン産地でベト病が猛威を振るった。 地中海沿岸部が特にひどく、潜在収穫量の一部を失った。繰り返す雨や嵐、そして高い気温が病気を蔓延させたが、夏の中盤に猛暑となり勢力は弱まった。ぶどうの被害は夏の初めから見られていたが、収量減がそれほどでもないとの判断が出たのはヴェレゾンが終わってからだ。ベト病発生の前、南西地方、南東部、コルシカ島で多少の花ぶるいが起きたものの、果実の形成の始まりとなる開花・結実は多くの産地で問題なかったからだ。


各地の状況: ( )内の数字は「2018年予想収穫量」・「対前年増減率」・「過去5年平均に対する増減率」

シャンパーニュ(338万hl、+51%、+35%)
収穫は9月末に、素晴らしい天候のもと終了した。生産量は昨年そして過去5年平均を大きく上回る見込みだ。収穫量規制をオーバーするとの予測を考慮し、収穫されないぶどうもあった。

ブルゴーニュ・ボ-ジョレ(267万hl、+21%、+20%)
収穫は9月に終了。最終的には乾燥の影響で収穫量が減少することはなかった。気象や衛生面で問題の少ない一年だった。生産量は昨年を上回る見込み。ある程度の量がストックへまわるだろう。

アルザス(117万hl、+28%、+13%)
収穫は早い時期に、恵まれた天候のもと行われた。日照りや乾燥による被害は局地的でしかなかったが、若いぶどう樹が影響を受けた。生産量は霜の被害を受けた昨年を大きく上回り、過去5年平均も上回る見込み。

サヴォワ(12万hl、+26%、+14%) ジュラ(11万hl、+154%、+66%)
サヴォワでは9月末に収穫が終了。ジュラではアペラシオンで規制されている最大収穫量に達する見込み。生産量は収穫がかなり少なかった2017年を大幅に上回る見込だ。

ロワール(306万hl、+38%、+22%)
夏の終わりに雨が降ってくれたおかげで、ぶどうは収穫の直前に成熟した。収穫は10月中旬に終了した。生産量は前回の予想から上方修正された。ある程度の量がストックへまわるだろう。ベト病の影響で局地的に収穫を失ったところがあるものの、生産量は過去5年平均をも上回る見通し。

シャラント(855万hl、+24%、+5%)
最初の収穫は雹の被害にあった区画からで、収量は少なかった。収穫が全て終了した時点で、平均収穫量が上方修正された。雹や夏の間の病害の影響はあったものの、収穫量は最終的に過去5年平均を上回る見通し。

ボルドー(539万hl、+46%、+5%) 南西地方(366万hl、+23%、+10%)
ボルドーでは11月1日現在、甘口白ワイン用以外の収穫は全て終了している。恵まれた天候の下での収穫だった。収穫量はかなりバラつきがある。ベト病で、生産量は平均10%の減少となった。しかし霜の被害が大きかった2017年と比べると、収穫量は大幅に上回るだろう。南西地方では、非常に恵まれた天候のもと収穫が行われた。ボトリティスが繁殖していなかったのは驚くべきことだ。ベト病や乾燥で局地的に収穫に影響が出たものの、生産量は非常に少なかった昨年、そして過去5年平均ともに上回る見通し。    

ラングドック・ルーシヨン(1,260万hl、+21%、+-0%)
収穫は9月末、素晴らしい天候の中で終了した。ぶどうは最適な熟度で収穫された。ベト病の被害は地区によってバラつきがあり一様ではない。雹やベト病の被害を免れたところでは予測を上回る収穫量だ。収穫が減少した2017年に続く今年の生産量は、過去5年平均と同等レベルとなる見込みだ。

南東部(476万hl、+12%、-10%)
収穫は9月末に終了した。ほとんどの県で恵まれた天候の中での収穫だった。しかし生産量は、ヴァール県やヴォクリューズ県で被害が大きかったベト病による損失の影響で、過去5年平均を下回る見通し。

コルシカ島(31万hl、+10%、-5%)
収穫に時に雨が続いたため、腐敗果の選別や、収穫の断念を余儀なくされた。生産量は過去5年平均を下回る見通し。

2018年11月20日